センサー付きアザラシ、南極海の氷の「巨大な穴」の謎を解く
なぜ、南極の海氷にサウスカロライナ州ほどの広さの巨大な穴ができたのか? その謎を解明するために、ロボットと人工衛星、それに頭にセンサーを取り付けたアザラシが使われた。
ときを遡ること1976年、研究者は南極のウェッデル海に毎冬できる浮氷に時折、巨大な穴が開いているのを発見した。「ポリニヤ」と呼ばれるこの穴がどうして現れるのかはこれまで謎だった。その後、この現象は消えたかのように思われたが、2016年と2017年に再び現れ、研究者にとって絶好の研究の機会となった。
ワシントン大学の研究チームは、3つの情報源からデータを収集した。人工衛星、浮遊するロボット、温度センサーを頭に貼り付けたゾウアザラシである(センサーはアザラシを傷つけることなく、数カ月後に自然に落ちる。ご心配なく)。ゾウアザラシは極めて深いところまで潜ることが多く、ときに水深2000メートルも潜ることが知られている。そのため、研究者は以前は研究できなかった海域に接する手段が得られた。
これらのデータを用いて、最近のポリニヤは激しい暴風、海中の山、塩分濃度の高い海水、異常な海洋の状態が組み合わさって発生したとチームは結論付けた。この研究結果は6月10日にネイチャーの論文として発表された。