クリーンエネ「失速」続く、投資額は過去6年で最低レベルに
クリーンエネルギー開発計画への支出が世界的に落ち込み、過去6年間で最低レベルとなった。気候変動との闘いにはかなりの痛手だ。
2019年上半期、太陽光や風力などのクリーンエネルギー源に対する世界の投資総額は1176億ドルで、昨年の上半期と比べて14%減少したほか、半年間の投資総額として2013年以来最低となったことが、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF:BloombergNEF )の調べで明らかになった。
中国では、政府が積極的に推進していた太陽光発電への助成を控えてコスト抑制を図ったことから、投資額が39%減少した。だが、クリーンエネルギーへの支出は、米国とヨーロッパでも減少した。低下率は米国が6%、ヨーロッパが4%で、段階的に廃止されつつある政策や、成熟市場における新規の発電需要の低さが支出低迷の一因となっている。
今回の報告は、再生可能エネルギー発電施設の建設が停滞した昨年の傾向が2019年も継続しており、気候変動に対処する上で決定的に重要な時期を迎えているいま、世界がまったく間違った方向に進んでいることを示している(「再生可能エネの成長が失速、IEA発表の衝撃」を参照)。危機的状況をもたらす温暖化の閾値を回避できるという何らかの希望を持つためには、クリーンエネルギー源への移行を世界規模で急激に加速する必要があることが、あらゆる主要な報告書で明らかにされている(「持続可能エネルギーへの転換が進まない本当の理由」を参照)。
BNEFの調べによると、クリーンエネルギー企業に対する民間投資も減少した。昨年上半期からの低下率は2%で、投資総額は47億ドルとなり、革新的な新進企業が気候問題に残る課題点を解決するために必要としていた資金供給が制限された。
クリーンエネルギー開発計画への支出の落ち込みが持続的な傾向として固定化されてしまうことを防ぐために、クリーンエネルギー開発を推進し、民間投資を増額する動機付けとなるような、より積極的な政策が必要であることは間違いない。