テスラが初のAIチップを発表、完全自動運転へ向け加速
テスラは4月22日、カリフォルニア州パロアルトで開いた投資家向け説明会「Autonomy Investor Day(自動運転自動車投資家の日)」で、自動車の完全自動運転化を加速するために開発した初の自社製カスタム人工知能(AI)チップを公開した。
テスラの発表によると、260平方ミリメートルのシリコン製のチップには60億個のトランジスターが内蔵されており、毎秒36兆回の処理が可能だ。さらに、このチップは、同社が以前使用していたエヌビディア製のチップよりはるかに高性能であると主張している。しかし、エヌビディアはテスラの比較は不正確だとして、すぐに異議を唱えた。テスラの自動運転用コンピューター基板は、冗長性のためにカスタムAIチップを2つ組み込んでいるが、それでもエヌビディアの同等のコンピューターと比較して半分以下の処理能力しかない。にもかかわらず、テスラは自社のカスタム設計チップは、センサーによって収集された大量のデータを迅速に処理するのに最適であり、バッテリーを消耗せずに安全な運転判断ができると自信を持っている。
イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、新しいコンピューター基板をモデルSとXおよびモデル3にすでに搭載しており、近い将来、完全無人運転自動車へ転換するために必要なハードウェアを搭載すると発表している。完全自動運転の実現時期はソフトウェアや規制、ビジネス上の諸課題をいつ克服できるかによるが、マスクCEOは来年、100万台のロボットタクシーをセーフティ・ドライバーなしで走行できると確信しているとも語っている。
マスクCEOが自社製品の能力を誇張するのも、あるいは設定した期限について楽観的すぎるのも、いまに始まったことではない。 テスラは半自動運転機能の提供において2年遅れており、マスクCEOが当初2017年末までに実現すると主張していたハンズフリー米国横断旅行はいまだ実現できていない。