KADOKAWA Technology Review
×
充電さえも完全無人化、
未来のロボタクシーは
ここまで進化する
Ariel Davis
カバーストーリー Insider Online限定
Future robo-taxis could charge themselves and help balance the electric grid

充電さえも完全無人化、
未来のロボタクシーは
ここまで進化する

電気自動車(EV)の充電時にケーブルを接続する必要がないワイヤレス給電システムが注目されている。世界中の大手自動車メーカーとの提携を進めるワイトリシティは、駐車中のクルマに充電するだけでなく、走行中のクルマに充電したり、都市の移動型電力バンクとして電気自動車を活用したりすることを目指している。 by Elizabeth Woyke2018.10.11

電気で走る自動運転タクシー(ロボタクシー)は実現可能だ。運輸やエネルギー、それに人口統計といった動向からは、未来の自動車が自律的に動くようになること、化石燃料でなく電気で動くこと、個人所有でなく共有になることを示している。

しかし、誰もが自動運転の電気自動車に相乗りできるようになる前に、充電できる場所を用意する必要がある。現在の課題の1つだ。米国には電動自動車の充電スタンドが約2万カ所しかない(ガソリンスタンドは12万5000カ所以上ある)。マッキンゼーは、主要経済国(中国、ヨーロッパ、インド、米国)は2031年までに、充電インフラ整備に550億ドルを投資して、1億4000万台の電気自動車が公道を走れるようにする必要があると予測している。

充電プラグを自動車に差し込むことにも課題がある。文字通りロボタクシーには、長くて太い充電ケーブルを操作するドライバーは乗っていないからだ。

ワイトリシティ(WiTricity)というスタートアップ企業は、磁気共鳴と呼ばれるワイヤレス給電がよりスマートな充電方法だと考えている。このテクノロジーでは、送電網から電線を介して地上の銅コイルに給電し、磁場を形成してエネルギーを取り入れる。自動車の底部に取り付けられた別の銅コイルが磁場の範囲内に入ると、車両側の銅コイルに電流が発生して自動車のバッテリーが充電される仕組みだ(「Wireless Power」を参照)。

電気自動車(EV)を充電する際には、コイルの上で停車して数時間待つだけで済む。ワイトリシティによれば、充電効率は充電ケーブルを自動車に直接挿入するのと変わらないという。

ワイトリシティ以外にも、磁気共鳴によるワイヤレス給電システムに取り組んでいる企業は存在する。だがワイトリシティによると、同社のテクノロジーはあらゆる車種、モデルに対応し、重要な安全性に関する機能(たとえば、子どもや動物がコイルとコイルに挟まれていた場合、充電器を自動停止する)を備え、アスファルトまたはその他の舗装を介してエネルギーを供給できるという。さらに、ワイトリシティの充電器は、頻繁なメンテナンスが不要で、安全性の懸念 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中! ひと月あたり1,000円で読み放題
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る