KADOKAWA Technology Review
×
AIには「常識」が足りない
DARPA新コンペの狙い
HAMMER: DAVID; TELEPHONE: ANDRIWIDODO; BANANA: BEN DAVIS | The Noun Project
カバーストーリー 無料会員限定
The US military wants to teach AI some basic common sense

AIには「常識」が足りない
DARPA新コンペの狙い

人工知能(AI)の強力な手法である深層学習を使ったシステムでも、未だに愚かな誤りを繰り返している。その大きな理由の1つが、「一般常識の欠落」だ。米国防高等研究計画局(DARPA)は、AIの重大欠陥を改善すべく、新たなコンペを実施することを発表した。 by Will Knight2018.10.15

どんな用途であれ、人工知能(AI)は必ずと言っていいほど人を笑わせるような誤りを犯すものだ。「誰かと一緒にディナーを食べること」と「誰かをディナーとして食べることと」を混同する翻訳アルゴリズムによる滑稽な誤りは、その典型例と言える。

だが、AIが、車両の自動運転や医療診断、知識情報をもとにした生死に関わる判定などの重大な状況にますます利用されていることを考えると、失敗はもはや笑い事では済まない。そこで、米国防総省の研究機関である米国防高等研究計画局(DARPA)が現在、AIのもっとも根本的な欠陥である「一般常識の欠落」に取り組んでいる。

「一般常識は、人工知能における暗黒物質(未知の物質)です」と語るのは、シアトルを拠点にAIの限界を探求する非営利研究団体「アレン人工知能研究所」のオレン・エツィオーニCEO(最高経営責任者)だ。「ちょっと言いにくいことですが、AIに一般常識が欠落している影響は至る所で見て取れるはずです」。

DARPAの新たな「マシン・コモンセンス(MCS)」プログラムは、AIアルゴリズムに以下に示すような質問の意味を理解することを求める競技会を開催する予定だ。

コンピューター・プログラムがこの質問に取り組むためには、光合成の仕組みをある程度 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
  2. Here’s why we need to start thinking of AI as “normal” AIは「普通」の技術、プリンストン大のつまらない提言の背景
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る