KADOKAWA Technology Review
×
「炭素税」がワシントン州で頓挫、問われる環境政策の実行力
Andreina Schoeberlein | Flickr
ニュース Insider Online限定
People will never vote for a carbon tax, so lets stop asking

「炭素税」がワシントン州で頓挫、問われる環境政策の実行力

米国初の炭素税の導入が有力視されたワシントン州での住民投票が否決された。気候変動による脅威への理解があり、反トランプの地盤があっても、新税の導入は難しいことが改めて示された格好だ。 by James Temple2018.11.15

2017年末、ワシントン州のレベン・カーライル州上院議員は、ワシントン州の有権者が炭素税に賛同するだろうと予測していた。環境問題に関する法律を撤回しようとするトランプ政権の働きかけ、そしてワシントン州の森林、鮭、シャチに対する気候変動の影響の増大を背景に、州民たちは最終的に賛成するだろうとMITテクノロジーレビューに語っていた。

だが、カーライル議員は間違っていた。ワシントン州の最終報告によると、住民投票でI-1631法案は否決された。法案が通れば、米国で初めてとなる炭素税が導入され、5年以内に年間10億ドル以上の税収を見込めるはずだったとシアトル・タイムズ紙は報道している。ワシントン州の有権者が炭素税に反対したのはこれで2度目だ。

今回の投票結果によって、ごく自然な疑問が持ち上がる。確固たる民主党支持の州が、高まりつつある気候変動の危機に取り組みつつ、反トランプ熱に後押しされながら、いまだに炭素税を押し通すことができないならば、他の州が炭素税を導入できる可能性がどれほどあるというのか? ましてや米国全体については言うまでも無い。

あるいは疑問への答えはこうだろう。首都ワシントンにおける政治力の大幅な再編成でも無ければ、炭素税はまずありえない。少なくとも国レベルではありえない。11月6日の中間選挙で民主党は下院での議席を取り戻したが、上院では共和党が議席を増やしており、いかなる意欲的な気候変動のアジェンダも阻止する力 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
  2. Here’s why we need to start thinking of AI as “normal” AIは「普通」の技術、プリンストン大のつまらない提言の背景
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る