KADOKAWA Technology Review
×
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
カバーストーリー 無料会員限定
Inside the World’s Largest Collection of PTSD Brains

PTSD治療薬の開発に81個の脳を冷凍保存

PTSD研究の「至高の目標」、つまり薬剤に反応を示す脳の部位を探し求める科学者の取り組み。 by Emily Mullin2016.10.17

東ボルティモア(米国メリーランド州)にあるリーバー脳発達研究所(LIBD)の業務用冷凍庫には、存命中に心的外傷後ストレス障害と診断された患者の多数の脳が、重要組織の保存のために保管されている。開所から6年間で集めた2000個近くの脳の一部にすぎないが、LIBDが所有する81個の脳は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断済みの検死用脳としては世界最大のコレクションだ。

LIBDの科学者は統合失調症と、関連する脳障害を研究しており、PTSDのコレクションについて意欲的な計画を立てている。心的外傷を負った後にストレス障害を発症するリスクを高める遺伝的変異を特定し、薬剤による治療の効果を上げる脳の部位を見つけようとしているのだ。

現在、PTSD患者はトークセラピーや心理療法と、障害の症状を和らげるように調合した抗鬱剤の組み合わせで治療されている。米国の退役軍人省の推定によれば、どの年でも、約800万人の成人がPTSDにかかっている。世界的に見ればこの数はさらに増え、戦闘員以外にも、難民や戦争を経験した民間人、DVや暴行、性的搾取の被害者なども含まれる。

死後の脳を調べることはPTSDの研究にとって重要だ、というのは研究所で臨床科学を担当するジョエル・クラインマン副所長だ。科学者や医療専門家がPTSDについて知っているのことの大部分は、障害の症状を観察することで得られたので、PTSDを発症した人の脳内で起きる分子や細胞の変化はわかっていない。クラインマン副所長によれば、変化は「人間に特有」なため、動物では研究できないとい …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. A new US phone network for Christians aims to block porn and gender-related content ポルノもLGBTも遮断、キリスト教徒向けMVNOが米国で登場
  2. Musk v. Altman week 1: Elon Musk says he was duped, warns AI could kill us all, and admits that xAI distills OpenAI’s models 「オープンAIを蒸留した」マスク対アルトマン第1週、法廷がざわめく
  3. Will fusion power get cheap? Don’t count on it. 核融合は本当に安くなるのか? 楽観論に「待った」をかける新研究
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
AI革命の真実 誇大宣伝の先にあるもの

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る