KADOKAWA Technology Review
×
Innovators Under 35 Japan 2026 候補者募集開始!
Novelty of Driverless Cars Wears Off Quickly for First-Timers

なぜ自動運転車は人間ぽく動作する必要があるのか?

ニュートノミーは、無人運転タクシーの「世界最大で最もお金をかけたフォーカスグループ」をシンガポールで運営している。 by Will Knight2016.10.19

無人運転車はどの程度人間ぽくすればいいのか?

シンガポールで無人運転型タクシーサービスを立ち上げたニュートノミーは、この疑問に答えようとしている。「不気味の谷」(ほとんど人間のように見えるが、十分には人間らしくないロボットに対する人間の感情的反応)の自律自動車版といってもいいだろう。

「好むと好まざるとにかかわらず、私たちは、プログラムどおりに運転する自動車の開発と、人間ぽく運転する自動車の開発との間にある谷に橋をかけなければなりません」とニュートノミーのカール・ラネンマCEOは18日、マサチューセッツ州ケンブリッジで開催されたEmTech MIT 2016で発言した。「明確な答えがあるわけではなく、人によって求める人間ぽさは異なります。私が研究しているのはそういうことなのです」

Karl Iagnemma, CEO and CoFounder, nuTonomy
ニュートノミーのカール・ラネンマCEO兼共同創業者

ラネンマCEOは、ニュートノミーは、テクノロジーに対する社会全体の反応を調べるためにサービスを始めたという。自動運転がどれだけ早く事業化できるかは、社会全体の受け止め方によって大きく変わるため、ニュートノミー等、自動運転を一般的に試用させている企業によるこうした探求は非常に重要だ。

「これは世界最大の、最もお金をかけたフォーカスグループ(ある商品、サービスへの意見をグループに対して質問することで得るマーケティング手法のひとつ)だと思ってください。極めて価値がある研究であり、情報を得るためにこれ以外の方法はありません」

ニュートノミーだけが無人自動車に取り組んでいるわけではない。しかしニュートノミーは、数週間前から一般的に利用可能な乗車サービスを提供した世界初の企業で、ウーバーは、その後、ピッツバーグのサービスで後に続いた(「試験中の自動運転タクシーはしばらく試験中のままな理由」参照)。

ラネンマCEOは、乗車した人々は急角度で上向きの受容曲線を示す、という。つまり、自動運転タクシーの最初の乗車から数分間は落ち着かない様子だが、すぐに満足感を得て、最終的には退屈に変わる。ただし、特に非人間的な運転動作に驚いて、居心地の悪さを感じることがまだあるという。

「私たちの最初の無人乗用車は、軌道を走る路面電車のように(ただまっすぐ)運転していたようです。このような違和感は人々を排除してしまいます。今、私たちは(違和感を減らすことが)極めて重要だと深く理解しています」

米国のいくつかの都市でグーグルが試験中の無人自動車運転(おそらく最も目立つ実験だ)は、運転動作の重要さを明らかにしている。自動車が信号で止まってから発進する際の不自然な動きは、確実に事故を招いてる(“Google’s Self-Driving Car Probably Caused Its First Accident”参照)のだ。

無人自動運転は、さまざまな文化に適合した運転をする必要もあるだろう。たとえば、カリフォルニア州の道路で訓練された自動車は、厚かましさで悪名高いボストンやニューヨークなどの路上では、あまりにのんびりした運転をするかもしれない。

ニュートノミーのシンガポールでの実験は、ウーバーや他の無人タクシーが直面する、別の問題も提起している。ラネンマCEOは、タクシーサービスの人間的な側面(乗客が荷物を載せるのを助けしたり、忘れ物の携帯電話を返却したりすること)に対して、無人自動運転車はなんらかの代替策を考えていく必要がある、という。

人気の記事ランキング
  1. It’s time to address the looming crisis in entry-level work. 「コーディングを学べ」もう通用せず、AIが若者の雇用を奪い始めた
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  3. Anthropic’s Code with Claude showed off coding’s future—whether you like it or not 「Claudeに任せてしまおう」 たった1年で激変したソフトウェア開発
ウィル ナイト [Will Knight]米国版 AI担当上級編集者
MITテクノロジーレビューのAI担当上級編集者です。知性を宿す機械やロボット、自動化について扱うことが多いですが、コンピューティングのほぼすべての側面に関心があります。南ロンドン育ちで、当時最強のシンクレアZX Spectrumで初めてのプログラムコード(無限ループにハマった)を書きました。MITテクノロジーレビュー以前は、ニューサイエンティスト誌のオンライン版編集者でした。もし質問などがあれば、メールを送ってください。
▼Promotion
社会実装都市「ひろしま」の魅力に迫る ローカル ✕ イノベーション
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る