KADOKAWA Technology Review
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宇宙開発新時代の幕開け
2019年注目のロケット
打ち上げ計画12選
Get ready for these rocket milestones in 2019

宇宙開発新時代の幕開け
2019年注目のロケット
打ち上げ計画12選

2019年は宇宙開発にとってかなり面白い年になりそうだ。米国をはじめとする各国が、月面探査から有人飛行まで様々なロケット打ち上げ計画を立てている。 by Erin Winick2019.01.09

2018年は、数々のロケット打ち上げが成功裏に終わった。この勢いは2019年も続きそうだ。

今年は、世界中で歴史に残る偉業を数多く目にすることになるだろう。話題の中心は、米国の国土から再び宇宙飛行士を宇宙へ送るべく準備を進めているスペースX(SpaceX)とボーイングだが、中国やインド、イスラエルなどの国々でも、見逃せない打ち上げ計画がある。

この記事では、MITテクノロジーレビューが特に注目しているロケット打ち上げ計画をいくつか挙げてみた。なお、打ち上げ予定日はすべて、打ち上げの遅延や調整のために変更される可能性がある。

 

スペースX、初の有人型機のデモ打ち上げ(1月17日)

使用ロケット:スペースXのファルコン9(Falcon 9)

この記念すべき打ち上げに、ケネディ宇宙センターの39A発射台は、ある意味ふさわしい場所と言える(39Aは、アポロやスペースシャトル・ミッションが打ち上げられたことでも知られている)。今回打ち上げられるスペースXの無人版ドラゴン・カプセルは、将来的には有人飛行を目指している。人間を乗せる前に米国航空宇宙局(NASA)が一連の飛行試験をクリアするよう求めており、今回はその第1回目となる。スペースシャトルのプログラムが終了して以来、米国の国土から軌道宇宙へは一度も有人ロケットが打ち上げられていない。米国から再び宇宙飛行士を送り出す第一号として名乗りをあげたいスペースXは、どうしてもこの打ち上げを成功させなければならない。すべてが計画通りにいけば、国際宇宙ステーションへの人員輸送のロシアへの依存度も軽減できる。打ち上げは元々は1月7日に計画されていたが、宇宙ステーションでの交通渋滞を避けるために10日間延期された。しかし、米連邦政府機関の閉鎖の影響により、これもまた延期されるかもしれない。

 

チャンドラヤーン2号の打ち上げ(2019年1月30日)

10年以上の空白期間を経て、インドが2回目の月探査ミッションを計画している。インド宇宙研究機関は、月の南極付近にランダー(着陸船)とローバー(探査車)を軟着陸させる計画だ。もし成功すれば、月に軟着陸(探査機とその搭載物を無傷で着陸させること)で到達する4番目の国になる。だが、これも延期されそうだという報告もある。チャンドラヤーン1号(Chandrayaan-1)は、インド初の月探査ミッションとして2008年に打ち上げられたが、このときはオービター(軌道船)とインパクター(衝突機)だけが搭載され、月面に衝突するよう設計されていた。

 

スペースILの月への打ち上げ(2019年2月中旬)

使用ロケット:スペースXのファルコン9

もしインドが月への軟着陸を成功させる4番目の国にならなければ、イスラエルがその栄誉を手にするかもしれない。イスラエルのテルアビブに拠点を置く民間企業のスペースIL(SpaceIL)は、2019年初めに月への打ち上げを計画している。スペースILはグーグル・ルナ・エックス・プライズ・コンテストに参戦していたが、同コンテストは何度も締め切りが延期されたあげく、優勝者なしのまま昨年打ち切られた。しかし、スペースILをはじめとする多くの参加企業は、まだ月への夢をあきらめていない。もし成功すれば、民間企業として初めての月面着陸となる。スペースILが成功しなくても、エックス・プライズに参加していた何社もの企業が今年に打ち上げを計画しており、ほかの誰かが栄冠を勝ち取ることになるかもしれない。

 

バージン・オービットのローンチャーワン、デモ飛行および公式発射(2019年初め)

使用ロケット:ローンチャーワン(LauncherOne)

バージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)から独立して、人工衛星に焦点を絞ったバージン・オービット(Virgin Orbit)は、初の飛行試験と公式発射を計画している。自社所有の航空機ボーイング747-400(通称コズミック・ガール)の翼下にローンチャーワン・ロケットを取り付け、発射させる。昨年11月にコズミック・ガールは、ローンチャーワンを翼下に抱えた初の吊り下げ飛行試験を成功させた。次の大きなステップは、ロケットを切り離して地上に落下させるドロップテストと、実際にロケットを発射させるテストだ。いずれも2019年に予定されている。

 

スペースX、2回目のファルコン・ヘビー打ち上げ(2019年初め)

使用ロケット:ファルコン・ヘビー(Falcon Heavy)

スペースXの最強ロケットであるファルコン・ヘビーは2018年2月に打ち上げに成功したが、まだ利益につながる打ち上げは何ひとつない(直近の打ち上げに積まれた貨物は、イーロン・マスクの自動車だった)。だがそれも、今年初めにファルコン・ヘビーが再び打ち上げられるまでのことだ。2019年に、ファルコンヘビーは2回の打ち上げが予定されており、それぞれアラブサット6A(Arabsat 6A)と一連の軍事衛星を宇宙へ送り込む。今のところ、アラブサット6Aが先になるとみられているが、両方とも既に延期されているため、どちらが先になるか、確実なことは言えない。いずれにしても、ファルコン・ヘビーは、間もなく商業試験が実施されることになりそうだ。

 

ボーイングの軌道(無人)飛行試験(2019年3月)

使用ロケット:アトラスV(Atlas V)

次の有人飛行試験に控えているのは、ボーイングだ。同社の有人型カプセル、スターライナー(Starliner)は、スペースXのドラゴン・カプセルの数カ月後に、同様の試験が実施されることになっている。

 

ブルーオリジン、社員を宇宙へ送る(2019年前半)

使用ロケット:ニュー・シェパード(New Shepard)

昨年、ブルー・オリジン(Blue Origin)の最高経営責任者(CEO)であるボブ・スミスは2018年内に同社のロケットであるニューシェパードで人間を初めて準軌道宇宙へ送るつもりであると発言した。さらに、2020年には軌道宇宙まで到達すると語ったが、その後、予定を少し遅らせる決定をした。バージン・ギャラクティックはかろうじて2018年末に、宇宙の入り口までの初有人飛行を成功させた。ブルー・オリジンがまもなく打ち上げに成功すれば、2社のどちらが先に金持ちの旅行客を宇宙へ連れて行けるかの競争が激化するのは間違いない。

 

リチャード・ブランソンと宇宙旅行客を準軌道宇宙へ打ち上げ(2019年半ば)

使用ロケット:スペースシップ2号(SpaceShipTwo)

バージン・ギャラクティックといえば、共同創業者のリチャード・ブランソンは初の飛行試験の成功に弾みをつけ、2019年には自分自身が準軌道宇宙へ飛び立とうと計画している。その後、早い時期に旅行客を宇宙へ送りたい考えだ。既に、700人ほどが順番待ちをしているという。しかし、ブランソンの宇宙計画は何度か締め切りを破っている過去があるため、この計画も延期される公算は大きい。

 

スペースXの(有人)飛行試験デモ-2(2019年6月)

使用ロケット:ファルコン9

1月の飛行試験(デモ-1)がすべて計画通りに進めば、スペースXは2011年のシャトル・プログラム終了以来初めて、米国の国土から軌道宇宙への有人飛行の打ち上げを敢行する。シャトル・プログラムが終了してからというもの、世界中の国々は国際宇宙ステーションへの人員輸送をロシアに頼り切っていた。スペースXのドラゴン・カプセルの初の乗組員には、ボブ・ベーンケンとダグ・ハーリーが既に選ばれている

 

ボーイング有人飛行試験(2019年8月)

使用ロケット:アトラスV(Atlas V)

大きな遅延がなければ、ボーイングもスペースXの数カ月後に初の有人飛行を実現させるはずだ。エリック・ボー、ニコール・アウナプ・マン、クリス・ファーガソンが、ボーイング・スターライナーの最初の乗組員になるだろう。

 

中国の有人機(無人)飛行試験(2019年)

使用ロケット:長征5号

将来的に宇宙飛行士を乗せた宇宙船の開発を目指しているのは米国企業だけではない。中国も2019年に、次世代有人宇宙船のモデル機の初の無人飛行試験を計画している。テストは、2014年にNASAが実施したオリオン(Orion)の試験と似たものになるだろう。

 

中国の月探査機、嫦娥5号(2019年後半)

使用ロケット:長征5号

宇宙開発の分野で、中国は存在感を増している。昨年は、ほかのどの国よりも多くのロケットを軌道へ乗せた。2018年に打ち上げられた嫦娥4号は今月、月の裏側へ到達するという大きな偉業を達成した。もうひとつの偉業は、次の月探査ミッションである嫦娥5号になるだろう。月面から、2キロのサンプルを持ち帰る予定だ。成功すれば、1976年に月の土を持ち帰った旧ソ連のルナ24号以来のサンプル持ち帰りとなる。

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エリン・ウィニック [Erin Winick]米国版 准編集者
MITテクノロジーレビューの宇宙担当記者。機械工学のバックグラウンドがあり、宇宙探査を実現するテクノロジー、特に宇宙基盤の製造技術に関心があります。宇宙への新しい入り口となる米国版ニュースレター「ジ・エアロック(The Airlock)」も発行しています。以前はMITテクノロジーレビューで「仕事の未来(The Future of Work)」を担当する准編集者でした。それ以前はフリーランスのサイエンス・ライターとして働き、3Dプリント企業であるSci Chicを起業しました。英エコノミスト誌でのインターン経験もあります。
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