デンソーのコネクテッドカー・システム、2025年までに開発
世界最大の自動車部品メーカーが、自動運転に向けた動きを活発化させている。 by MIT Technology Review Japan2016.10.25
世界最大の自動車部品メーカーであるデンソー(本社愛知県)が、2025年を目処に自動運転車のシステムを開発すると明かした。
日本経済新聞(ペイウォール)によると、デンソー・インターナショナル・アメリカの岩井明史R&Dディレクターが21日、「2025年までに自動運転車のシステムを開発する」と都内で開かれたイベントで述べたという。
デンソーは、トヨタ自動車系の一次サプライヤー(ただし、売上高の約44%はトヨタグループ以外から得ている)で、自動運転の実現に向けて、画像センサーやミリ波レーダーなどの主要部品を自社開発している。また、2015年12月には、画像処理ソフトウェアを開発するモルフォ(本社東京)に約12億円を出資したほか、2016年4月にはNEC通信システム(本社東京)、組込みソフトメーカーのイーソル(本社東京)との合弁で車載用電子システムソフトの開発会社オーバスを設立。10月17日には深層学習を用いた画像認識システムを東芝と共同開発することを発表するなど、自動運転システムの実現に向けて、動きを活発にしていた。
日本経済新聞の記事によれば、自動車が歩行者を検出して避けたり、センサー情報から周囲の地図を自動的に作成したりするテクノロジー(「自動運転用の3D地図を従来型自動車に作らせよう」参照)などが披露された。
ただし、デンソーが目指すテクノロジーは、必ずしも自動車の自律制御とは限らない。信号や標識、路面などの交通インフラと自動車が情報をやりとりする「コネクテッド・カー」は、事故時の自動通報、運転操作の習熟度に基づく保険料の算定、盗難車両の自動追跡など、より幅広い範囲で自動車のIoT化を目指す概念だ。
岩井ディレクターは「日本は車載ソフトの投資額が、欧米の10分の1の水準だ」と指摘し、西海岸のベンチャー企業や大学と連携して試作機を開発するという。欧米での研究には、交差点の利用権を自動車が取得することで信号機をなくす、MITやチューリッヒ工科大学、テキサス大学のアイデアがある。
自動運転を巡っては、ゼネラルモーターズ系部品メーカーであるデルファイがオプション装備型の製品を2019年までに発売するとしているほか、BMWやフォードは2021年までに完全自律自動車を発売すると発表している。
自動車の企画から販売には少なくとも5年程度かかるとされているが、自動運転車の実現には懐疑的な見方もある。2025年は、現実的な日程かもしれない。
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- MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]日本版 編集部
- MITテクノロジーレビュー(日本版)編集部