大腸菌の全遺伝子を合成ゲノムに置換、遺伝コードを「圧縮」
ケンブリッジ大学の研究チームは、大腸菌の全遺伝子の置き換えととともに遺伝コードの書き換えに成功した。自在な物質を合成できる細菌の作成もいずれ可能になるかもしれない。 by Antonio Regalado2019.05.28
大腸菌(E.coli)のすべての遺伝子を、人工的に合成された完全なゲノムのコピーに置き換えた研究成果が発表された。「ケブラー」などの特定の繊維や他のポリマーを体内で合成できる遺伝子改変細菌の作成に、また一歩近づいたことになる。
ケンブリッジ大学の研究者らは、ネイチャー誌にて、400万ものDNA配列を持つ大腸菌の全ゲノムを、人工的な遺伝子に段階的に置き換えた方法を報告している。
「今回は2年かかりましたが、将来的には合成ゲノムを一カ月以内に作れるようにしたいと考えています」。そう語るのは、英国医学研究協議会の生物学者であり、研究チームを率いた、ジェイソン・チン教授だ。「合成ゲノムの作成スピードが上がれば、私たちの実験の幅が広がり、合成生物学の研究が大いに加速するでしょう」。
細菌の合成ゲノムは、2008年と2010年に、J.C.ベンター研究所で初めて作られた。しかし、それらの4倍の長さを持つ大腸菌ゲノムの合成は、記録を塗り替えたことになる。
別の研究団体は、パン …
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