KADOKAWA Technology Review
×
全米初、サンフランシスコ市が顔認識を使用禁止へ 今後の影響は?
Unsplash
人工知能(AI) 無料会員限定
Why San Francisco’s ban on face recognition is only the start of a long fight

全米初、サンフランシスコ市が顔認識を使用禁止へ 今後の影響は?

顔認識技術の使用を禁止する条例がサンフランシスコ市で制定された。だが、条例によって禁止されるのは行政機関による顔認識技術の利用であり、民間企業は依然として使用可能だ。 by Angela Chen2019.05.17

サンフランシスコ市は、行政によって顔認識技術の使用を禁止された米国初の都市となった。プライバシー擁護団体はサンフランシスコ市の決定を賞賛している。条例ができたからといって、民間企業による顔認証や顔認識が使用できなくなるわけではない。

とはいえ、第一歩にはなるかもしれない。

顔認識技術は有色人種を頻繁に誤認する証拠があるにもかかわらず、ますます一般的なものになってきている。活動家らは、誤認逮捕や人々の居場所の追跡に使われたり、あるいは何ら問題がない反体制者をターゲットにしたりすることにつながりかねないと警告を発している。

近年、サンフランシスコ市当局は、ハイテク監視ツールの使用の再考を余儀なくされた。2009年、地元警察は自動車を運転していたデニーズ・グリーンさんを停車させ、その車を捜索している間、彼女に銃口を突きつけた。そうした行動に出たすべての理由は、ナンバープレート・リーダーが彼女の乗っていた車を盗難車だと誤認したためだった。グリーンさんは訴訟を起こし、サンフランシスコ市は結局、彼女に49万5000ドル支払った。サンフランシスコ警察は現在、顔認識技術を使用していないが、そうしたエピソードは間違いなく顔認識技術の禁止を推進する圧力の一因となった。

ハイテクに取りつかれた街が、そのテクノロジーを制限する最初の都市になることは驚く話ではない。「シリコンバレーに住む親ほど、子どもに対しスマホやPC、テレビゲーム機といった電子画面を見ることを禁じる傾向にあるのと似たようなものです」。そう語るのは、データ倫理学者であり、ITセキュリティ企業オブシディアン・セキュリティ(Obsidian Security )のプライバシー・トラスト部門担当副社長であるローラ・ノーレンだ。ノーラン副社長は、ハイテクに精通した他の都市もサンフランシスコの先例に続きそうだという。近隣のオークランド市やマサチューセッツ州のサマービル市で、すでに同種の禁止条例案が提出されているのも頷ける。とはいえノーラン副社 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. An ancient man’s remains were hacked apart and kept in a garage 切り刻まれた古代人、破壊的発掘から保存重視へと変わる考古学
  2. This startup just hit a big milestone for green steel production グリーン鉄鋼、商業化へ前進 ボストン・メタルが1トンの製造に成功
  3. AI reasoning models can cheat to win chess games 最新AIモデル、勝つためなら手段選ばず チェス対局で明らかに
  4. OpenAI has released its first research into how using ChatGPT affects people’s emotional wellbeing チャットGPTとの対話で孤独は深まる? オープンAIとMITが研究
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る