KADOKAWA Technology Review
×
【5/24まで】ひと月あたり1000円で購読できる春のキャンペーン実施中!
「あなたの声」のまま変換、グーグルの新しい翻訳システム
EMILIO MORENATTI/AP
Google’s AI can now translate your speech while keeping your voice

「あなたの声」のまま変換、グーグルの新しい翻訳システム

グーグルが、ある言語で入力した音声を、話者の声の特徴を保ったまま別の言語の音声で出力する自動翻訳システムを開発した。ある言語での話者の「声紋」を別の言語にマッピングするように訓練したニューラルネットワークを利用する。 by Karen Hao2019.05.22

このスペイン語の音声クリップを聞いてみよう。

この音声クリップを従来の自動翻訳システムで英語に翻訳すると、次のようになる。

そしてこちらが、グーグルの新しい自動翻訳システムを利用した場合のものである。

完璧ではないものの、グーグルの翻訳システムでは、元の話者の声と口調がある程度維持されていることがわかる。グーグルの翻訳システムは、音声入力を音声出力に直接変換しているからだ。その間に他のステップはない。それに対して従来の翻訳システムは、音声を一旦テキストに変換し、そのテキストを翻訳した後、再度音声を合成している。そのため、その過程で元の声の特徴が失われてしまう。

トランスラトトロン(Translatotron)」と名付けられたこの新しいシステムには3つのコンポーネントがあり、そのすべてが、話者の音声スペクトログラムを調べている。音声スペクトログラムとは、再生されている音の周波数分布のスナップショットを視覚化したもので、一般的に声紋と呼ばれる。トランスラトトロンの最初のコンポーネントでは、入力言語の声紋を出力言語の声紋にマッピングするように訓練したニューラル・ネットワークを使用する。2つめのコンポーネントは、マッピングした声紋を、再生可能な音声の波形に変換する。その後、3つめのコンポーネントが、元の話者の声の特徴を、最終的な音声出力に被せて戻す。

このアプローチによって、言葉には表されない重要な情報が維持され、より繊細な表現の翻訳が可能になるだけでなく、理論的には、翻訳ミスが最小限に抑えられる。ステップがより少なくなるからだ。

トランスラトトロンは現在、研究者らが概念実証をしている段階だ。テストでは、精選された訓練用データがすでに大量に確保されているスペイン語から英語への翻訳だけを試みている。だが、上の音声クリップを聞くと、いずれは商用システムとして実用化される可能性がありそうだ。その他の音声クリップはこちらから確認できる。

人気の記事ランキング
  1. The way whales communicate is closer to human language than we realized クジラの言語構造、想像以上に人間の言語に近かった
  2. Why EV charging needs more than Tesla EVシフト、充電部門閉鎖で明らかになった「テスラ頼み」の危うさ
  3. OpenAI and Google are launching supercharged AI assistants. Here’s how you can try them out. さよならAlexa、オープンAIとグーグルのAIアシスタントが超進化
  4. Google helped make an exquisitely detailed map of a tiny piece of the human brain 驚きに満ちた脳の「配線図」、グーグルらが史上最高解像度で3D地図化
カーレン・ハオ [Karen Hao]米国版 AI担当記者
MITテクノロジーレビューの人工知能(AI)担当記者。特に、AIの倫理と社会的影響、社会貢献活動への応用といった領域についてカバーしています。AIに関する最新のニュースと研究内容を厳選して紹介する米国版ニュースレター「アルゴリズム(Algorithm)」の執筆も担当。グーグルX(Google X)からスピンアウトしたスタートアップ企業でのアプリケーション・エンジニア、クオーツ(Quartz)での記者/データ・サイエンティストの経験を経て、MITテクノロジーレビューに入社しました。
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. The way whales communicate is closer to human language than we realized クジラの言語構造、想像以上に人間の言語に近かった
  2. Why EV charging needs more than Tesla EVシフト、充電部門閉鎖で明らかになった「テスラ頼み」の危うさ
  3. OpenAI and Google are launching supercharged AI assistants. Here’s how you can try them out. さよならAlexa、オープンAIとグーグルのAIアシスタントが超進化
  4. Google helped make an exquisitely detailed map of a tiny piece of the human brain 驚きに満ちた脳の「配線図」、グーグルらが史上最高解像度で3D地図化
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る