KADOKAWA Technology Review
×
夏割実施中!購読料20%オフ。
CO2排出量は車の5倍、力任せの深層学習は環境に悪すぎる
Dean Mouhtaropoulos | Getty; edited by MIT Technology Review
人工知能(AI) Insider Online限定
Training a single AI model can emit as much carbon as five cars in their lifetimes

CO2排出量は車の5倍、力任せの深層学習は環境に悪すぎる

深層学習を使った価値あるAI研究は莫大な計算資源を必要とし、大量の二酸化炭素を排出する。学術界と産業界の大きなギャップも問題だ。 by Karen Hao2019.08.27

人工知能(AI)産業はよく石油産業に例えられる。いったん採掘され、精製されると、データは石油のようにとても儲かる商品になる。今日、この比喩はもっと大きな意味を持つものになりそうだ。化石燃料と同様、深層学習のプロセスは環境にかなり大きな影響を与えるからだ。

マサチューセッツ大学アマースト校の研究チームは、一般的な大規模AIモデルの訓練について、ライフ・サイクル・アセスメント(LCA:製品やサービスのライフサイクル全体に関する環境影響評価)を実施した(論文はこちら)。その結果、大規模AIモデルの訓練は、二酸化炭素換算量で約284トン以上を排出することが明らかになった。平均的なアメリカ車が耐用年数内に放出する炭素量(車両の生産を含む)のほぼ5倍に相当する値だ。

AI研究者は以前からうすうす気づいてはいたものの、衝撃的な値である。「おそらく、私たちの多くはこれまで抽象的に漠然と捉えていたと思います。発表された数字は問題の深刻さを示しています」。スペインのア・コルーニャ大学のコンピュータ科学者であるカルロス・ゴメス・ロドリゲス准教授はこう話す(同准教授は今回の研究には関わっていない)。「私自身も、二酸化炭素の排出について一緒に議論した研究者も、環境への影響がそれほど重大だとは思っていませんでした」。

自然言語処理の二酸化炭素排出量を調査

この論文では、自然言語処理(NLP)モデルの訓練プロセスを重点的に検証している。 NLPは、機械に人間の言語を教え、処理させることに特化したAIのサブ分野である。過去2年間、NLPの研究コミュニティは、機械翻訳、文章完成法、その他の標準的なベンチマーク・タスクにおいて、いくつかの著しい成果を上げている。たとえば、オープンAI(OpenAI)の有名なモデル「GPT-2」は、説得力のあるフェイクニュース記事を書くことに卓越している。

だが、精度の高いNLPには、インターネット上から収集した大量の文章のデータセットを使った、より大規模なモデルの訓練が必要になる。計算コストが高く、極めて大きなエネルギーを消費して …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【夏割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. What’s behind this summer’s heat, and why 2027 could be worse 記録ずくめの猛暑の夏、しかし本番は来年かもしれない
  2. Scientists just created female clones of male mice オスのマウスからメス作製、日本チームが遺伝子編集で性逆転に成功
  3. Trump’s AI protectionism has come for robotics 中国製ロボットを締め出す米国、その研究は中国製で回っている
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る