KADOKAWA Technology Review
×
来れ!世界を変える若きイノベーター。IU35 2025 候補者募集中。
災害対応にAI活用を、MITが機械学習用の被災地画像を公開
COURTESY OF MIT LINCOLN LABORATORY
人工知能(AI) 無料会員限定
AI thinks this flood photo is a toilet. Fixing that could improve disaster response.

災害対応にAI活用を、MITが機械学習用の被災地画像を公開

MITの研究者らが、災害の被害にあった地域の画像をコンピュータービジョン・システムに学習させるためのデータセットを発表した。このデータセットで訓練された機械学習システムを使えば、特にひどく被害を受けた地域や予想される現場の状況などを、緊急時対応要員がより迅速に把握できるようになるだろう。 by Karen Hao2019.09.04

アンドリュー・ワイナート研究員と同僚はとても落胆していた。ハリケーン・マリアがプエルトリコを襲った後、マサチューセッツ工科大学(MIT)リンカーン研究所の研究者たちは、連邦緊急事態管理庁(FEMA)が被害を判断する助けになろうと必死に取り組んでいた。そのとき、彼らの手元には完璧なデータセットがあった。災害直後に民間空中哨戒部隊(CAP)が撮影した被災地域の8万枚の航空写真だ。

だが、1つ問題があった。手作業で分類するには画像が多すぎるのに、商用の画像認識システムは重要なものは何一つ識別できなかったのだ。特にひどいのは、画像分類の代表的存在であるイメージネット(ImageNet)が、大規模な洪水地域の画像をトイレの画像だと分類するよう勧めてきたという例だ。

「驚くほどの情報量なのに、どれも利用できなかったのです」とワイナート研究員はいう。

研究者たちはすぐに、この問題が今回に限ったものではないことに気づいた。どのような大規模災害の状況においても、FEMAなどの緊急時対応要員チームは、到着する前に現場の詳しい状況を確認しておくことで、時間と資源を大幅に節約できる。だが、ほとんどのコンピュータービジョン・システムは、決まりきった日常の画像を用いて訓練されているため、被災地帯で関連のある細部を確実に拾い出すことができないのだ。

そのことが分かったからには、チームは緊急対応状況に特有の写真と映像を新たに集めて注釈を付けざるを得なかった。8月末にチームは論 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. It’s pretty easy to get DeepSeek to talk dirty 「お堅い」Claude、性的会話に応じやすいAIモデルは?
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
  3. Google’s new AI will help researchers understand how our genes work グーグルが「アルファゲノム」、遺伝子変異の影響を包括的に予測
  4. What is vibe coding, exactly? バイブコーディングとは何か? AIに「委ねる」プログラミング新手法
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る