KADOKAWA Technology Review
×
Made in America: Asian Tech Giants Say They Will Expand U.S. Operations Under Trump

ソフトバンクとトランプ次期大統領の発表は、シリコンバレー幹部との会合の前哨戦

ソフトバンクとフォックスコンはアメリカでの事業を拡大予定で、次期大統領は喜んで自分の手柄にする。 by Jamie Condliffe2016.12.08

日本で通信事業者を傘下に持つソフトバンクと台湾のエレクトロニクスメーカー、フォックスコンは、米国事業に大幅に投資する意向を発表した。

ソフトバンクの孫正義CEOは、アメリカに500億ドルを投資し、5万人の新規雇用を予定していると発表した。ニュースはマンハッタンにあるトランプタワーのロビーで発表され、その後、孫CEOと次期大統領が会合した。資金は、ソフトバンクがサウジアラビアのソブリン・ウエルス・ファンドと提携して確保した1兆ドルの投資ファンドから拠出される。

発表直後、フォックスコン(アップルなどの企業向けに機器を製造する企業)のニュースが続いた。フォックスコンも米国での営業を拡大予定だという。声明ではフォックスコンの「今後の投資規模は未定」だが、最終決定は「当社の責任者と関連する米国側の要人」の間で直接話し合われた後になされるという。

The president-elect hosted Softbank CEO Masayoshi Son at Trump Tower for the announcement that Son's company would make a huge investment in expanding its U.S. operations.
次期大統領はソフトバンクの孫正義最高経営責任者(CEO)をトランプタワーに迎え、ソフトバンクが米国でのビジネスを拡大するために巨額の投資をすると発表した。

ドナルド・トランプはすでにソフトバンクの宣言を自分の功績にした。当然といえば当然だ。孫CEOは発表で、トランプ政権での規制撤廃の拡大に言及したからだ。

実現すれば、このニュースはトランプの大きな勝利だ。トランプ次期大統領は従来から米国の製造業を活気づける意向を表明し「アップルに中国ではなく米国内でコンピューターやiPhoneを製造させる」と公約している。

アップルが製造と完成品の出荷拠点を米国へ移すとは考えにくい。安価に技能の高い労働力が入手でき、しかも融通が利く中国の工場設備は、現時点での米国内の工場では太刀打ちできない。しかし、もしフォックスコンが事業をアメリカで拡大すれば、アップルもアメリカ国内でより多くの製品を生産するかもしれない。

実際、今後数週間で嫌でもそうなるかもしれない。トランプは来週、シリコンバレー企業の幹部を招いて会合を持つ予定といわれている。話の中身や参加者は定かではないが、オラクルとシスコシステムズの最高経営責任者の参加は確認済みだ。

誰であれ、トランプは間違いなく参加者を説得し、各社の製品を米国内で製造させようとするはずだ。会合は今後4年間のテクノロジーの変化と、その製造場所を展望させることになる。

(関連記事:Reuters, Bloomberg, The New York Times, “メードインUSA iPhoneの値段”)

人気の記事ランキング
  1. An ancient man’s remains were hacked apart and kept in a garage 切り刻まれた古代人、破壊的発掘から保存重視へと変わる考古学
  2. Why handing over total control to AI agents would be a huge mistake 「AIがやりました」 便利すぎるエージェント丸投げが危うい理由
  3. This startup just hit a big milestone for green steel production グリーン鉄鋼、商業化へ前進 ボストン・メタルが1トンの製造に成功
  4. OpenAI has released its first research into how using ChatGPT affects people’s emotional wellbeing チャットGPTとの対話で孤独は深まる? オープンAIとMITが研究
タグ
クレジット Photograph by Spencer Platt | Getty
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る