KADOKAWA Technology Review
×
発表!MITテクノロジーレビューが選ぶ
2022年のイノベーター14人。
【12/15 Summit開催】
新型コロナ、大声で話すと空気中に最長14分間滞留の可能性
Pixabay
Loud talking could leave coronavirus in the air for up to 14 minutes

新型コロナ、大声で話すと空気中に最長14分間滞留の可能性

新型コロナウイルス感染症は、ウイルス保有者のせきやくしゃみによって空気中に放出される唾液の飛沫で感染することが知られている。米国衛生研究所の研究者らの新たな研究によると、ウイルス保有者が大声で話をしただけでも、ウイルスを含んだ唾液の飛沫が8分間から14分間、空気中に滞留していることが分かった。 by Neel V. Patel2020.05.18

大声で話す人の口から出る数千という唾液の飛沫は、8分から14分間空気中に滞留してから消滅することが新たな研究で分かった。米国衛生研究所(NIH)のチームが実施し、5月13日に米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表されたこの研究は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染に関する私たちの理解に、大きな影響を及ぼす可能性がある。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)などの呼吸器疾患を引き起こすウイルスは、ウイルス保有者との直接的な接触、あるいは保有者から空中に放出されたごく小さな飛沫にウイルスが混入している際に、人から人へと感染伝播する。「せき」や「くしゃみ」が重視されるのはそのためだ。しかし、話をすることでも空気中には唾液の飛沫が数千個放出される。研究者らはどれだけ多くの飛沫が生み出され、どのくらい長く空気中に残っているかを把握することに関心を寄せていた。

米国衛生研究所の研究グループは、言葉を繰り返し発声するよう被験者に依頼し、高感度のレーザーを使って被験者から放出された飛沫を視覚的に捉え、閉鎖された空気の流れのない環境において、飛沫が自然消滅する様子を観察した。平均的な新型コロナウイルス感染症の患者の唾液にどれだけウイルスのRNAが含まれるかというこれまでの研究を基に、1分間大きな声で話すとウイルスを含む飛沫が少なくとも1000個生成されると推定。観察では、こうした飛沫は空気中に8分間以上、場合によっては14分間も残存することが示された。

この研究では、1つ1つのウイルス粒子に感染を引き起こすゼロではない確率が等しくあると仮定しているが、その仮定は新型コロナウイルス感染症の現実とはかけ離れている。この研究はまた、厳しく管理された環境下で実施されたものであり、現実世界のほぼすべての環境でも見られるような空気循環や温度変化といった要素は考慮されていない。

とはいえ、今回の研究結果は、感染者が単に話をするだけでも、新型コロナウイルスを他人に感染させるのに有効な可能性があるという点で深刻な不安をもたらす。研究者グループは推定値は保守的なものとしており、患者によっては平均より多くのウイルスを生成し、ウイルスを含む飛沫の数が「1分間の話で10万個を優に超える」可能性があるという。この研究結果の最大の効果は、感染の可能性を回避するために、外出時にはいかなる状況でもマスクを着用する必要性があるとの認識を高めることにあるのかもしれない。

(関連記事:新型コロナウイルス感染症に関する記事一覧

人気の記事ランキング
  1. Here’s how a Twitter engineer says it will break in the coming weeks ツイッターで「非公式RT」が一時復活、崩壊の始まりか
  2. Former Twitter employees fear the platform might only last weeks 「ハードコア」大量離職で、元従業員らがツイッターに余命宣告
  3. When you lose weight, where does it go? 解説:ダイエットで減った体重はどこに行ったのか?
  4. We could run out of data to train AI language programs  大規模言語AIにアキレス腱、訓練用データが2026年にも枯渇か
ニール・V・パテル [Neel V. Patel]米国版 宇宙担当記者
MITテクノロジーレビューの宇宙担当記者。地球外で起こっているすべてのことを扱うニュースレター「ジ・エアロック(The Airlock)」の執筆も担当している。MITテクノロジーレビュー入社前は、フリーランスの科学技術ジャーナリストとして、ポピュラー・サイエンス(Popular Science)、デイリー・ビースト(The Daily Beast)、スレート(Slate)、ワイアード(Wired)、ヴァージ(the Verge)などに寄稿。独立前は、インバース(Inverse)の准編集者として、宇宙報道の強化をリードした。
日本発「世界を変える」35歳未満のイノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. Here’s how a Twitter engineer says it will break in the coming weeks ツイッターで「非公式RT」が一時復活、崩壊の始まりか
  2. Former Twitter employees fear the platform might only last weeks 「ハードコア」大量離職で、元従業員らがツイッターに余命宣告
  3. When you lose weight, where does it go? 解説:ダイエットで減った体重はどこに行ったのか?
  4. We could run out of data to train AI language programs  大規模言語AIにアキレス腱、訓練用データが2026年にも枯渇か
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.8
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.8脱炭素イノベーション

2050年のカーボンニュートラル(炭素中立)の実現に向けて、世界各国で研究開発が加速する脱炭素技術、社会実装が進む気候変動の緩和・適応策などGX(グリーン・トランスフォーメーション)の最新動向を丸ごと1冊取り上げる。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る