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ノーベル化学賞に「CRISPR」開発者の2人
Nobel
The Nobel Prize in chemistry has gone to the two women who pioneered CRISPR gene editing

ノーベル化学賞に「CRISPR」開発者の2人

ノーベル委員会は、2020年のノーベル化学賞を、今世紀最大のバイオテクノロジーの発見と言われている「クリスパー(CRISPR)」技術を開発したエマニュエル・シャルパンティエ教授とジェニファー・ダウドナ教授に授与すると発表した。 by Antonio Regalado2020.10.09

2020年のノーベル化学賞は、ゲノム編集技術「クリスパー(CRISPR)」を開発したエマニュエル・シャルパンティエ教授(ウメオ大学)とジェニファー・ダウドナ教授(カリフォルニア大学バークレー校)に与えられることが10月7日に発表された。

ノーベル委員会は、ダウドナ教授とシャルパンティエ教授が2012年に「画期的な」実験を実施し、クリスパーを使ってデオキシリボ核酸(DNA)を狙った場所で切断する方法を決定したと評した。「遺伝子のハサミ」と呼ばれるクリスパーは研究室での実験に革命をもたらし、失明や鎌状赤血球症の治療法としてすでに患者に試験されている。遺伝子を組み換えたトウモロコシや豚、犬、そして(物議を醸している)人間の作製にも使用されてきた。DNA切断用のたった1つの特殊なタンパク質と、そのタンパク質をゲノムのあらゆる場所に導く「ガイド」分子を用いるだけなので使用するのが簡単で、非常に強力な手法となっている。

2人の女性だけでノーベル賞を共同受賞するのは今回が初めてだ。だが、画期的な共同研究の後、クリスパーの商用化に対する意見の違いなどで、2人はすぐさま別の道を歩むことになった。欧州に拠点を置くシャルパンティエ教授と米カリフォルニア大学バークレー校のダウドナ教授はそれぞれ、別のバイオテクノロジー企業を設立した。

ノーベル賞は最大3人が受賞できる。2020年のノーベル化学賞の3人目の受賞者を選ばなかったノーベル委員会の決定は議論を呼びそうだ。受賞を逃した可能性がある人には、同様の発見をしたリトアニアのヴィリニュス大学の生化学者であるヴィルギニユス・シクスニス教授がいる(日本版注:2018年度カブリ賞のナノサイエンス分野では、シャルパンティエ教授、ダウドナ教授、シクスニス教授の3人が受賞した)。クリスパー編集技術を人間の細胞に応用できることをいち早く示し、クリスパーの特許権をめぐるシャルパンティエ教授とダウドナ教授との高額な争いでこれまでのところ優位に立っているマサチューセッツ工科大学(MIT)のフェン・チャン教授も、同様に受賞者に選ばれなかった。

クリスパー遺伝子編集技術は「今世紀最大のバイオテクノロジーの発見」と言われている。クリスパーが開発されて以来、物議を醸す用途にクリスパーが使われることがほとんど阻止できないように思われるなかで、ダウドナ教授はそうした使用について社会に警告するなど大きな公的役割を担ってきた。2018年には、中国人科学者の賀建奎(フー・ジェンクイ)元准教授が体外受精(IVF)ヒト胚を使って初の遺伝子編集ベビーを作製した。フー元准教授の研究を非難を浴び、現在服役している。

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アントニオ レガラード [Antonio Regalado]米国版 医学生物学担当上級編集者
MIT Technology Reviewの生物医学担当上級編集者。テクノロジーが医学と生物学の研究をどう変化させるかについて追いかけ、記事を書いています。2011年7月にMIT Technology Reviewに参画する以前はブラジルのサンパウロを拠点に、科学やテクノロジー、ラテンアメリカ政治について、サイエンス誌や他の刊行物向けに記事を書いていました。2000年から2009年にかけては、ウォールストリートジャーナルで科学記者を務め、後半は海外特派員を務めていました。
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MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020SDGs Issue

今、世界中の企業や機関の技術者・研究者たちが各地で抱える社会課題を解決し、持続可能な世界の実現へ向けて取り組んでいる「SDGs(持続可能な開発目標)」。
気候変動や貧困といった地球規模の課題の解決策としての先端テクノロジーに焦点を当て、解決に挑む人々の活動や、日本企業がSDGsを経営にどう取り入れ、取り組むべきか、日本が国際社会から期待される役割について、専門家の提言を紹介します。

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