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「想定内」のトランプ勝利宣言、ソーシャルメディアの対応は?
AP
Everyone knew that Trump would declare a premature victory. Social platforms still stumbled.

「想定内」のトランプ勝利宣言、ソーシャルメディアの対応は?

トランプ大統領の早すぎる勝利宣言は完全に想定内の行動だった。ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアはすぐに対応に動いたが、すべてに対応できたわけではない。 by Will Douglas Heaven2020.11.06

誰もが、想定内だった。トランプ大統領は11月4日、東部標準時午前2時21分に、選挙に勝ったと演説した。勝利宣言をするのに十分な得票数を得るまでに、まだかなりの時間がかかるにもかかわらずだ。「我々はこの選挙に勝つ用意をしてきました。率直に言って、我々は選挙に勝ちました」。トランプ大統領は票の集計を止め、結果を最高裁の手にゆだねるよう呼びかけた。ソーシャルメディア企業はそうした動きを予期していた。では、ソーシャルメディアは、そのような嘘が広がるのを止めるために、どのように対応したのか? 何カ月も前から準備してきたにもかかわらず、その対応は混沌としたものだった。

郵便投票がまだ集計の途中であり、法廷闘争も始まっている中で、明確な勝利者が決まるまで数日かかるかもしれない。長年のトランプ大統領の味方でさえ、彼の嘘を非難した。トランプ大統領を熱心に応援しているクリス・クリスティー元ニュージャージー州知事は、TVネットワークのABCのインタビューで勝利宣言をした演説を批判した。「悪い戦略的な決定です。良くない政治的決定です」。トランプ大統領お気に入りのTVネットワーク、FOXニュース(Fox News)のキャスター、クリス・ウォーレスは「いつ火がついてもおかしくない状態で、大統領はまさにそこにマッチを放り込んだのです。彼は(集計中の)これらの州では勝ってはいません」と述べた。

2016年(前回の大統領選挙)の偽情報に対する扱いの不手際で苦しんだツイッター、フェイスブック、インスタグラム、ユーチューブなどのプラットフォームは、今回の選挙において、偽りの、あるいは誤解をまねく投稿の表示や共有を制限する多数の方針を土壇場で採用した。特に重要なのは、虚偽あるいは誤解を招く投稿にラベルを表示し、ユーザーによる共有を制限するものだ。演説の数時間前にトランプ大統領は、民主党は選挙を盗んでいるという誤った主張をツイートした。「我々は首尾よくやっていますが、彼らは選挙を盗んで勝とうとしています。そんなことは絶対させません。投票所が閉まった後、投票はできないのです!」

フェイスブックとツイッターは混乱を招くとして、この投稿にフラグをつけた。ツイッターは投稿を非表示とし、返信やいいね!機能を停止した。また、フェイスブックとインスタグラムは、トランプ大統領の演説の後、一般的な注意書きをプラットフォームに追加し、投票はまだ集計中であり、勝者はまだ明らかではないと記載した。フェイスブックは演説の動画にもラベルをつけ、「投票の集計は投票所が閉まった後、数日または数週間続きます。最終的な結果は、当初の集計と異なる可能性があります」と記した。

しかし、投稿を非表示にしたプラットフォームでも、トランプ大統領の完全版の演説動画がいまだに掲載されている場所があり、誰でも制限なく見ることができる。ツイッターでは、トランプ大統領のタイムラインの、選挙を盗むという発言で非表示になった投稿のすぐ上に表示されている。テキストの投稿にはすばやく対処しているが、動画コンテンツへの対応には遅れているのだろうか? ワシントンポスト紙によると、ツイッターは演説動画はポリシーに違反していないと説明している。対照的に、NBCニュースなど、いくつかのテレビネットワークは、トランプ大統領が選挙における勝利について虚偽の発言を始めるとすぐに、演説の途中にもかかわらず中継を中断した。キャスターのサバンナ・ガスリーは「率直に言って、真実とは言えない発言が複数ありました」と述べた。

今日、そして今後数日間は、米国の有権者や世界中で選挙の行方を見守っている人々を惑わせる嘘や意図的な試みが増えるだろう。いくら心配して議論を重ねてきても、テック企業はまだ誤情報の問題を完全に克服していない。ステップ・アップする必要がある。

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ウィル・ダグラス・ヘブン [Will Douglas Heaven]米国版 AI担当上級編集者
AI担当上級編集者として、新研究や新トレンド、その背後にいる人々を取材しています。前職では、テクノロジーと政治に関するBBCのWebサイト「フューチャー・ナウ(Future Now)」の創刊編集長、ニュー・サイエンティスト(New Scientist)誌のテクノロジー統括編集長を務めていました。インペリアル・カレッジ・ロンドンでコンピュータサイエンスの博士号を取得しており、ロボット制御についての知識があります。
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