KADOKAWA Technology Review
×
Samsung Explains the Details Behind the Galaxy Note 7’s Fiery End

Galaxy Note 7発火問題で、サムスンは何を説明しなかったか?

お粗末な電池設計と問題のある製造工程が原因だが、経営文化によって、真の原因が検査の目に引っかからなかった可能性もある。 by Jamie Condliffe2017.01.24

サムスンは、スマートフォンGalaxy Note 7が炎上する原因は電池が問題だったと正式に発表した。しかし問題の一因は、サムスンの経営スタイルにもあった、と指摘する声がある。

2016年、Galaxy Note 7は多くの端末の発火により一部機種をリコール(回収)した。ところが代替品も加熱し発火することが判明し、サムスンは、Galaxy Note 7の製造を完全に中止し、販売した全ての端末をリコールした。

1月23日、サムスンの正式な調査(700人のスタッフが20万台の携帯電話と3万個の電池を検査した)によって、一連の問題が明らかになった。ブルームバーグの記事によれば、Galaxy Note 7の生産初期モデルで使われた電池はサイズが不揃いで、大きめのサイズの電池が隅に挟まれると過熱する可能性があったという。代替品で問題は解決されたが、にわか作りのため溶接不良が発火の原因になった。

しかし、すべての電池は2つの電極間に非常に薄いセパレーターを使うよう設計されており、簡単に破損して短絡や発火を招く恐れがあった。1月23日の調査結果の説明会で、サムスン電子のモバイル事業の責任者である高東真(コ・ドンジン)社長は「弊社は、電池仕様のターゲットを設定しました。また、電池の設計と製造から生じる問題を最終的に特定し検証できなかったことについて責任を取ります」と述べた。

機能が豊富な端末で市場に参入し、iPhone 7を打ち負かしたいと切望するあまり、サムスンは、製品設計を徹底的に検査せず、今回の電池問題を引き起こした、と広く考えられている。しかし、ニューヨーク・タイムズ紙は、韓国全体で一般的な、トップダウン経営文化では、経営陣が過度に管理職にいいところを見せ、締め切りを守らせようとすることがあり、この問題の一因になったのではないか、と見ている。

高社長は、サムスン電子が『同じ問題が二度と起こさないため、是正処置をいくつか講じました」と述べた。しかし、発表では管理手法について言及しなかった。ともあれ、サムスンがすぐにこの問題を繰り返すことはないだろう。傷つけられた名声に加えて、ロイター通信の記事によれば、リコールによってサムスン電子の営業利益は53億ドル失われた。焦げ付きにしてはかなり大きい。

(関連記事:Bloomberg, Reuters, The New York Times, “リコール費用6800万ドル以上のサムスン、真の問題はブランドの炎上対策“)

人気の記事ランキング
  1. Singapore’s police now have access to contact tracing data シンガポールの接触追跡アプリが方針転換、犯罪捜査でも利用可に
  2. The winners of Innovators under 35 Japan 2020 have been announced MITTRが選ぶ、日本発の35歳未満のイノベーターを発表
  3. Don’t panic about the latest coronavirus mutations, say drug companies 新型コロナ「変異種」を過度に恐れる必要がないこれだけの理由
  4. Don’t worry, the earth is doomed 人類を滅亡に導く、15の破壊的リスク
  5. The kitchen of the future is here, it’s just not evenly distributed 電子レンジ、真空調理器超える「キッチン・テクノロジー」の未来
タグ
クレジット Photograph by Toshifumi Kitamura | Getty
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
Innovators Under 35 Japan 2020

MITテクノロジーレビューが主催するグローバル・アワード「Innovators Under 35」が2020年、日本に上陸する。特定の分野や業界だけでなく、世界全体にとって重要かつ独創的なイノベーターを発信していく取り組みを紹介しよう。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. Singapore’s police now have access to contact tracing data シンガポールの接触追跡アプリが方針転換、犯罪捜査でも利用可に
  2. The winners of Innovators under 35 Japan 2020 have been announced MITTRが選ぶ、日本発の35歳未満のイノベーターを発表
  3. Don’t panic about the latest coronavirus mutations, say drug companies 新型コロナ「変異種」を過度に恐れる必要がないこれだけの理由
  4. Don’t worry, the earth is doomed 人類を滅亡に導く、15の破壊的リスク
  5. The kitchen of the future is here, it’s just not evenly distributed 電子レンジ、真空調理器超える「キッチン・テクノロジー」の未来
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020SDGs Issue

今、世界中の企業や機関の技術者・研究者たちが各地で抱える社会課題を解決し、持続可能な世界の実現へ向けて取り組んでいる「SDGs(持続可能な開発目標)」。
気候変動や貧困といった地球規模の課題の解決策としての先端テクノロジーに焦点を当て、解決に挑む人々の活動や、日本企業がSDGsを経営にどう取り入れ、取り組むべきか、日本が国際社会から期待される役割について、専門家の提言を紹介します。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る