ウーバー参入でタクシー・ドライバー数は増加、賃金は低下の研究
配車サービスの登場で法人タクシーのドライバー数は減らなかったが、ドライバーの収入は減った。 by Jamie Condliffe2017.01.30
ウーバーやリフトなどの配車サービスにより、都市で暮らす人の移動手段は様変わりした。では、ウーバーやリフトは、ドライバーの雇用をどう変えただろうか。オックスフォード大学の研究者による研究では、予想通りの影響を確認する一方、驚くような事実も判明した。
米国労働省労働統計局の2009~2015年のデータに基づいた研究で、研究者はニューヨークやロサンザルス、サンフランシスコ等の米国の都市でウーバーが利用できるようになったことで、タクシー・ドライバーにどんな影響があったかを調査した。
ウーバーが米国の都市で利用可能になると、自営タクシーのドライバー数が平均50%増えたのは当然だろう。しかし、ウーバーの登場によっても、従来のタクシー会社に雇われたドライバー数は減っていなかった。実際、常勤のタクシー・ドライバーの数は、わずかに増えていたのだ。
もちろん、ウーバーの影響がなかったわけではない。ウーバーの利用が活発な地域では、法人タクシー所属のドライバーの時間当たりの平均賃金は、10%近く減少したことが分析で明らかになった。一方、自営タクシーのドライバーの収入は10%増加していた。
論文の共著者で、オックスフォード大学マーチン校テクノロジーと雇用研究プログラムのカール・ベネディクト・フレイ共同ディレクターは「ウーバーの普及によりタクシー業界の競争が激しくなり、タクシー・ドライバーの収入は全体的に低くなり、法人タクシー業界の収入が自営タクシーのドライバーに分配されるようになったのです」と説明している。
自営タクシーの時間当たりの収入が法人タクシー・ドライバーより多いのは、ウーバーによるテクノロジー的な優位のおかげだろう。自営タクシーのドライバーは実車時にだけ支払いを受け取るのが基本(ウーバーは進出先によっては最低賃金を保障することがある)だが、ウーバーのアプリがタクシーの需要とドライバーのマッチングを効率化しているため、ドライバーは時間を非常に効率的に使えるのだ。
ただし、ウーバーのドライバーは必ずしも自分たちの稼ぎに満足してはいない。1月初め、ウーバーはFTCと和解(現実離れした額の収入が見込めるとウーバーが宣伝していた)し、2000万ドル支払うと発表した。
(関連記事:Drivers of Disruption?, Vice, “Uber and Lyft Are Still Trying to Avoid Acting Like Regular Employers”)
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- ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
- MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。