KADOKAWA Technology Review
×
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
宇宙にもオープンソースの波 NASAが最新月面探査車に活用
NASA
宇宙 無料会員限定
NASA’s next lunar rover will run open-source software

宇宙にもオープンソースの波 NASAが最新月面探査車に活用

宇宙へのミッションではこれまで、大金をつぎ込んで開発した独自仕様のソフトウェアを使用するのが一般的だった。しかし、宇宙産業が急成長を遂げるにつれて、より安価で利用しやすいオープンソース・ソフトウェアの利用が注目されるようになってきている。 by Neel V. Patel2021.04.14

米国航空宇宙局(NASA)は2023年、月面探査車「バイパー(VIPER:Volatiles Investigating Polar Exploration Rover、揮発性物質調査極探査ローバー)」の打ち上げを予定している。将来的にロケット燃料の製造に利用できる可能性のある水氷を探して月面を走り回るバイパーには、月の土の上でしっかりと回転できる車輪、 地球外の地質を掘削できるドリル、気温がマイナス173度まで下がる月の夜に14日間耐えられるハードウェアなど、NASAが考えられる限りの最良の機器やツールを搭載する。

バイパーはほとんどがミッション専用の特注品で構成される一方で、ソフトウェアの大部分は誰でも目的を問わずに利用・改良・配布可能なオープンソース・ソフトウェアを使う。バイパーのミッションが成功した暁には、将来の月コロニーのための土台作りだけにとどまらず、宇宙産業がロボットの開発と運用手法に関する考え方を見直す転換点ともなるかもしれない。

宇宙ミッションについて話すとき、オープンソース技術を思い浮かべる人は少ないだろう。宇宙に打ち上げられ、目標地点に到達し、何百、何千、(あるいは何万)キロも離れた場所で、決められた一連のタスクをこなせるものを作るには、莫大な額の資金が必要だ。これを実現するためのノウハウは、秘密にしておきたくなるのが当然だろう。一方でオープンソース・ソフトウェアは、大抵はハッカソンや学生デモのような小規模プロジェクトのための、ちょっとしたプログラミングと結びつけて考えられる。ギットハブ(GitHub)などのオンライン・リポジトリで提供されているコードは、資金難やリソース不足を抱えるグループがコードをイチから作成する際の安価な解決策となることが多い。

しかし、宇宙産業は急成長を遂げている。大きな要因となっているのは、宇宙へのアクセス拡大の需要だ。そのためには、ソフトウェアをはじめとして、より安価で利用しやすい技術を活用することが求められる。

NASAのような、資金面に問題のない大きな組織にとっても、オープンソースのアプローチは結果的に、より強力なソフトウェアにつながるかもしれない。ボイジャー・スペース・ホールディングス(Voyager Space Holdings)の会長兼CEO(最高経営責任者)であるディラン・テイラーは、「現在のフライト・ソフトウェアは、宇宙では極めて凡庸なものと言えるでしょう」と話す。ボーイングが2019年に実施し、ソフトウェアの不具合によって失敗したスターライナー(Starliner)のテスト飛行がその例だ。オープンソースであれば、ソフトウェアに問題が発生したときに、第一線の科学者たちも、アマチュア開発者と同じように大規模なコミュニティの専門知識やフィードバックを活用できる。

基本的に、NASAにとって十分な性能があるものなら、地球外でロボットを操作しようとしている人々にとって十分に優れた性能を持っていると考えられる。世界中でますます多くの新興企業や新たな国家機 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. A new US phone network for Christians aims to block porn and gender-related content ポルノもLGBTも遮断、キリスト教徒向けMVNOが米国で登場
  2. Musk v. Altman week 1: Elon Musk says he was duped, warns AI could kill us all, and admits that xAI distills OpenAI’s models 「オープンAIを蒸留した」マスク対アルトマン第1週、法廷がざわめく
  3. Will fusion power get cheap? Don’t count on it. 核融合は本当に安くなるのか? 楽観論に「待った」をかける新研究
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
AI革命の真実 誇大宣伝の先にあるもの

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る