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需給逆転で外国人「歓迎」、
米でワクチン観光活況の兆し
Ms Tech | Getty
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The US worried about vaccine tourists. Now it’s encouraging them.

需給逆転で外国人「歓迎」、
米でワクチン観光活況の兆し

新型コロナワクチンの供給が需要を上回っている米国では、ワクチン接種が受けられることをうたって観光客を呼び込もうとする「ワクチン観光」に乗り出す州が増えつつある。しかし、こうした取り組みは、公衆衛生面でも倫理面でも大きな問題がある。 by Eileen Guo2021.05.31

匿名で取材に応じてくれた「アレックス」は、本名を明かしたくないという。ワクチンの接種を目当てに訪れる多くの観光客と同じだ。

英国人駐在員のアレックスは、居住地であるケニアのナイロビから夜行便に乗り、5月21日、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港に到着した。滞在はほんの数日間の予定だったが、ジョンソン&ジョンソン製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを接種するには十分すぎる時間のはずだ。

アレックスはこの数週間、ワクチン接種の方法について検討していた。ケニアに寄付されたワクチンは人口の約1%分にすぎない。アレックスには英国での接種資格があるはずだが、英国で接種するには非常に複雑な手続きになる。英国帰国後、指定されたホテルで14日間隔離され、地元の診療所に登録し、ケニアに戻ってからまた14日間隔離される。英国では1回の接種で済むジョンソン&ジョンソン製のワクチンが未承認なので、2回目の接種を受けるためにこれらのプロセスを3、4カ月後に再び繰り返すことになりそうだった。

一方、米国の場合は、到着後に隔離されずに済むうえ、ワクチンの供給は4月以降、需要を上回っている。友人の英国人夫婦がコロラド州での接種に成功したという話を聞き、ニューヨーク市が人気観光地で旅行者へのワクチン接種を計画していると知って、アレックスは飛行機を予約した。

とはいえ、アレックスはワクチン接種のためにニューヨークに行くことに関して複雑な気持ちであった。過去数年間の米国の政治情勢を考えると、米国はアレックスの訪れたい国リストの下位にあった。さらに、ワクチン接種のために訪米することは理にかなっていないように思えた。

「ちょっとおかしな話です」とアレックスは旅行前に話していた。「ワクチンが必要とされている場所にニューヨークからワクチンを空輸するより、ワクチン接種のためにニューヨークに多くの人を運ぶ方が本当に良い方法なのでしょうか」。

一部の人のために設けられた機会

世界初の新型コロナワクチンが利用可能になったのとほぼ時を同じくして、システムをうまく利用し、自分の順番が来る前にワクチン接種を受けている人たちがいることが報じられた。

英国では、アラブ首長国連邦に飛んで接種を受けるゴージャスなワクチン休暇のために、4万ポンド(5万6000ドル)以上支払った人がいる。米国では、接種対象者の基準が緩い近隣の州で接種を受けるために、州の境界を超える人もいた。新型コロナウイルス感染症で大きな影響を受けている、社会的弱者のコミュニティ出身の人をより多く救うために設けられたアクセスコードを利用して、裕福な地域から貧しい地域に車を走らせる人もいた。これは必ずしもワクチン観光とは呼ばれていないが、国民の間から怒りや少なからぬ嫉妬が湧き起こった。

しかし、裕福な国でワクチンがより広く利用できるようになるにつれ、ワクチン観光客の人物像や政府の対応も変化し始めた。パンデミックで停滞する地域経済の再開に役立つ手段として、ワクチン観光に注目する都市も少数であるが増えつつある。

その一例がニューヨーク市だ。

5月初旬、ビル・デブラシオ市長は、セントラルパークやタイムズスクエアなどの人気観光地で、観光客にジョンソン&ジョンソンのワクチンを提供する構想を発表した。「ニューヨークに来てください。ここは安全です」とデブラシオ市長は記者会見で述べ、次のように付け加えた。「(ニューヨークは)すばらしい場所であり、観光客の安心安全にも配慮します。ニューヨークを訪問している間に確実にワクチンを受けられるようにするつもりです」。

この計画は現在、州保健局の承認を待っているが、アレックスの例から見ても、デブラシオ市長の観光客へのメッセージはすでに効果を発揮している。

そして、これはニューヨーク市にとどまらない。現在、米国の24州で、居住しているか否かに関わらずワクチン接種を受けられる。さらに、25州が居住および非居住の両方の労働者にワクチンを提供している。

そのため、多くの州が外国からのワクチン観光の目的地になっている。メキシコの有名人がマイアミに飛んだり、ペルーの大統領候補者がテキサス州でワクチンを受けたり、カナダ人が国境のすぐ南の米国の薬局でワクチン接種を求めたり、といった事例が報じられている。一時、フロリダ州は外国人がワクチン目当てに訪問することを懸念して、ワクチン会場で居住証明を必須としたが、4月後半には居住証明は不要になった。

他の州や準州はもっと直接的に、ワクチン観光で地域経済復興を後押ししようとしている。アラスカ州は6月1日から、4つの空港に到着した訪問者を対象としてモデルナ(Moderna)とファイザーのワクチンの提供を開始する。米領バージン諸島は、ワクチン観光地として明確に宣伝していないが、それでもワクチン観光の効果が現れてきている。

「これは私たちにとって多くのメリットがあります」と観光コミッショナーのジョセフ・ボシュルテは4月、トラベル・ウィークリー(Travel Weekly)誌に語っている。「2回目の接種を待つ間、数週間滞在し、地元のレストランで食事してホテルに滞在し、日帰り旅行のために船をチャーターし、買い …

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