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子どもを苦しめる新型コロナ後遺症について今、わかっていること
Christopher Furlong/Getty Images
Here's what we know about kids and long covid

子どもを苦しめる新型コロナ後遺症について今、わかっていること

新型コロナウイルスに感染した子どもは、重症化や死亡のリスクは低いものの、数週間から数か月続く後遺症を抱える可能性がある。こうした後遺症が発生する頻度や原因については、現段階ではまだよくわかっていない。 by Cassandra Willyard2021.07.15

子どもたちの大部分はこれまで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスクを免れてきた。感染してウイルスを広める可能性はあるが、重症化や死亡のリスクはほとんどない。しかし、大人と同様に、感染初期をはるかに過ぎても持続的な症状を抱える可能性がある。「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の急性後遺症(PASC)」という正式名称で知られるこの状態はしばしば、「新型コロナ後遺症」と呼ばれる。

スタンフォード大学ルシール・パッカード小児病院のアロック・パテル小児科医は、このことを真剣に受け止める必要があると言う。「急性感染症である新型コロナウイルス自体で、子どもにはそれほど深刻な症状は出ませんが、新型コロナ後遺症は家族を大いに消耗・孤立化させ、たいへん恐ろしいものとなります」。

なぜ今この話をするのか?

新型コロナワクチンの接種によってパンデミックの人口統計に変化が起こっている。 より多くの成人がワクチン接種を受けるにつれて、子どもと若年成人が感染の割合を増やしている。子どもが感染する絶対数は、パンデミックのピーク時に比べてまだ少ないが、感染率は成人ほど速くは低下していない。

それは当然でもある。ウイルスはまだ循環しており、「最も脆弱な人々、つまりワクチン接種を受けていない人々を襲うことになります」と、米国小児科学会感染症委員会のショーン・オリアリー副議長はナショナル・パブリック・ラジオ(NPR 、米国の非営利・公共のラジオネットワーク)に語った。12歳未満の子どもは、まだ予防接種を受ける資格がなく、予防接種を受けられる若年層は、米国で最低レベルのワクチン接種率となっている。「成人における新型コロナ感染後の症状には、多くの焦点が当てられてきました」とパテル医師は言う。しかし、「小児層においては、本当に必要となる強固なデータはありません」。だが、それは徐々に変わりつつある。

子どもの間で新型コロナ後遺症はどの程度一般的か?

問題は、子どもたちの間での新型コロナ後遺症の現状がよくわかっていないことだ。ボストン小児病院の感染症専門医で、新設された新型コロナ後遺症クリニックの責任者を務めるアリシア・ジョンストンは、「とにかく、このトピックに関する優れた査読済み、発表済みの医学文献が不足しています」と話す。そして、存在する一握りの研究では、大きく異なる率が報告されている。

例えば、イタリアの研究者は、新型コロナウイルスに感染した109人の子どもたちの介護者に対する調査を実施し、診断から2か月後でも子どもたちの 42%に1つ以上の症状があることを発見した。4か月後になると、その割合は27%に減少した。

しかし、英国国家統計局(Office of National Statistics)のデータによると、新型コロナウイルスの検査で陽性となった子どもで、5週間以上にわたって症状を示しているのは、10〜13%だけである。そして7~8%の子どもは、12週間以上にわたって症状がある。 これはオーストラリアの研究と一致する。その研究では、新型コロナウイルスに感染した151人の幼児について調査を実施し、8%が感染から3〜6か月後でも症状を訴えていることがわかった。その後、子どもたちは全員回復した。

ある査読前論文の研究では、新型コロナウイルスの検査で陽性となった、英国の1700人超の学齢期児童たちの症状を追跡した。そのうちの4.4%は、症状が1ヶ月以上続いていた。症状が2ヶ月以上続いたのは1.8%だけであった。

スイスの査読前論文の研究では、新型コロナウイルスに対する抗体を持っている6歳から16歳までの子どもと、抗体を持っていない(そしておそらく感染していない)子どもという2つのグループにおける、新型コロナ後遺症の症状を比較した。新型コロナウイルス陽性の子どもたちで、1つ以上の症状を訴えている割合は、感染から4週間で9%、12週間で4%であった。しかし、驚くべきことに、抗体で陰性判定となった子どもたちの間でも、同じような割合で症状が訴えられていることを研究者らは発見した。

新型コロナ後遺症の原因は?

研究者たちは、症状が一部の子どもと大人に持続する理由をわからずにいる。こういった影響の長期化は、ウイルスによって引き起こされた臓器損傷の結果という可能性がある。あるいは、体内に残っているウイルスタンパク質が慢性的な炎症を引き起こしているのかもしれない。ウイルスがまだ非常に低いレベルで複製されている可能性があると推測する科学者もいる。

わかっていることは、症状の長期化が新型コロナウイルス感染症に固有のものではないということだ。別のウイルスも感染後症候群を引き起こす可能性がある。しかし、症状が新型コロナウイルスによって直接引き起こされているのか、それとも間接的に関連しているのかを判断するのは往々にして難しいと、パテル医師は言う。学校の閉鎖や社会的距離の確保といったパンデミック絡みのストレスや社会的変化は、子どものメンタルヘルスに深刻な影響を与える可能性があるからだ。

どのような症状があるか?

子どもに起こる新型コロナ後遺症の症状は、疲労、筋肉や関節の痛み、頭痛、味覚や嗅覚の喪失、呼吸器系の問題、胸の圧迫感や痛み、動悸など、大人に見られる症状に酷似している。「私たちは、本当に長く続く頭痛、ブレインフォグ(頭がもやもやする症状)、集中力の問題を訴えている多くの子どもたちを見てきました」とジョンストン医師は話す。

どのような人にリスクがあるか?

新型コロナ後遺症のリスクのある人についても、研究者たちに適切な答えはない。いくつかのデータは、年長の子どもは年少の子どもよりも新型コロナ後遺症を発症するリスクが高いことを示唆している。しかし、他の危険因子は不明なままだ。たとえば、当初発病した際の重症度がリスクに影響を与えるという説得力のある証拠は存在しない。「新型コロナ後遺症を訴えている子どもたちの多くは、とても軽症であったか、完全に無症状でした」とジョンストン医師は言う。

新型コロナ後遺症を発症する素因となる可能性がある基礎疾患との明確な関連性も存在しない。医師がどの子どもに最も高いリスクがあるかを把握していれば、「おそらく予防策があるでしょう」とジョンストン医師は話す。「中には、何か月もの間苦しんだ後、ようやくクリニックを訪れる子どももいます」。

新型コロナ後遺症の診断と治療法は?

新型コロナ後遺症の検査はない。医師は患者の経緯に耳を傾け、症状を記録し、以前に新型コロナウイルスに感染していたかどうかを評価して臨床診断をする。新型コロナ後遺症の原因はわかっていないので、医師が治すことはできない。医師たちができる最善のことは対症療法だ。ごく一部の診療所は、症状がある子どもたちの治療に特化した新型コロナ後遺症科を設置している。

ワクチン接種は新型コロナ後遺症の症状を抑制するか?

ワクチン接種により新型コロナ後遺症の症状を抑制できる可能性はある。 ワクチン接種が役に立つことを示唆する事例報告は数多く存在する。また、英国の900人を対象とした調査では、ワクチン接種により回答者の57%で症状の程度が改善されたことがわかった(一方で、7%弱が症状の悪化に見舞われた)。ワクチンによって残っているウイルスやウイルスの残骸を排除できるのかもしれないという仮説を立てている免疫学者もいる。 しかし、子どもに特化したデータはまだ存在しない。

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