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乳がん検査、AI併用で見逃し防止 医師の負担軽減も
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Doctors using AI catch breast cancer more often than either does alone

乳がん検査、AI併用で見逃し防止 医師の負担軽減も

マンモグラムなどからがんの有無を判断する放射線科医の役割をAIに置き換える試みは、これまでのところ成功していない。だが、AIが支援することで、判断の正確さを向上させ、医師の負担を軽減できるとの研究結果が発表された。 by Hana Kiros2022.07.15

新たな研究によると、乳がん検診において、放射線科医は単独で作業する場合よりも、人工知能(AI)による支援を受けたほうが、よりうまく乳がんを発見でき、より正確な結果を出せるという。

今月のランセット・デジタル・ヘルス(Lancet Digital Health)誌に掲載された大規模研究は、乳がん検診におけるAIの性能を、単独で使用した場合と、人間の専門家を支援した場合を直接比較した初めての研究だ。医師が見逃したがんをAIシステムが発見することで患者の命を救うことができ、放射線科医には余裕ができて多くの患者を診察できるようになる。専門医が圧倒的に不足している地域での負担軽減も期待できる。

今回の研究で使用されたのは、研究を主導した、ドイツに拠点を置くスタートアップ企業「ヴァラ(Vara)」のソフトウェアだ。ヴァラのAIは、すでにドイツの乳がん検診センターの4分の1以上で使用されており、今年に入ってからはメキシコとギリシャの病院にも導入された。

ヴァラのチームは、ドイツのエッセン大学病院とニューヨークのスローン・ケタリング記念がんセンターの放射線科医の協力を得て、2つのアプローチでテストを実施した。1つは、AIが単独でマンモグラムを分析するアプローチだ。もう1つは、AIが正常と思われるスキャン画像と疑わしいスキャン画像を自動的に分けて、放射線科医が後者を参照し、AIの評価を見る前にレビューするアプローチである。そして、AIが発見したがんを医師が発見しなかった場合は、警告が発せられる。

ヴァラはニューラル・ネットワークを訓練するため、36万7000件以上のマンモグラフィのデータ(放射線科医のメモ、最初の評価、患者が最終的にがんになったかどうかの情報など)をAIに入力した。そして、これらのスキャン画像を 「正常と確信できるもの」「確信できないもの(予測できないもの)」 「がんと確信できるもの」 の3つのグループのどれかに分類する方法を学習させた。その後、上記の2つのアプローチから得られた結論を、AIの訓練に使用したスキャン画像を提供していない検診センターから提供された8万2851件のマンモグラムに対して実際の放射線科医が下した判断と比較した。

その結果、医師とAIが協力する2つめのアプローチは、医師が単独で判断するよりも、乳がんを検出する能力が3.6%高い上に、誤報の警告も少なかった。これが達成できたのは、正常と確信できると分類されたスキャン画像を自動的に除外したからである。除外された画像は、全マンモグラムの63%に相当する。こうした大幅な合理化によって、放射線科医の仕事量を削減できる可能性がある。

乳がん検診では、スキャン画像が正常な患者 …

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