解説:ダイエットで減った体重はどこに行ったのか?
食欲の秋を迎えて、体重を気にし始めている人も多いのではないだろうか。体重が減るとき、その減ったぶんは一体、どこへいくのだろうか。 by Bonnie Tsui2022.10.24
体重が減ると何が起こるのか? 実は、これは活動に必要なエネルギーを身体がどのように蓄え、使っているかという問題である。
一般に、私たちの予備エネルギーは脂肪細胞に蓄えられ、体中に分配されている。一部は腹部の臓器のまわり(内臓脂肪)、一部は皮膚の下(皮下脂肪)に蓄積する。少量の脂肪が筋肉組織に付くこともある。さらに、肝臓や筋肉、脳などにも、グリコーゲンとして少量のエネルギーが備蓄されている。体の主なエネルギー源であるブドウ糖はグリコーゲンの形で蓄えられている。
私たちは走っていようと、食べていようと、眠っていようと、常にエネルギーを消費している。血液を送る、食べ物を消化する、体温を調節する、細胞を修復する、呼吸する、考えるなど、安静にしているときに使うエネルギーが基礎代謝だ。基礎代謝は、身体の基本的な生物学的機能を維持するために必要な最低限のエネルギーである。要するに、余分な体重があるのは、消費しているエネルギーよりも摂取しているエネルギーの方が多いからだ(私たちが忌まわしく思う腹部の膨らみは、蓄積された深いところにある内臓脂肪と浅いところにある皮下脂肪が組み合わさったもの)。
運動などの激しい身体活動でエネルギーを使うと、まず筋肉にあるグリコーゲンが使われる。肝臓はグリコーゲンを放出して、筋肉の活動を助け、血糖値を調節する。30~60分程度の有酸素運動をすると、体内の脂肪が燃焼し始める。
ダイエット時など、摂取するエネルギー量が身体全体の維持に必要な量より少ないと、身体は蓄えられた脂肪をエネルギー源とすることが多くなる。身体が脂肪を代謝すると、脂肪酸分子が血流に放出され、心臓、肺、筋肉へ送られる。臓器は脂肪酸分子を分解し、化学結合に蓄えられたエネルギーを使うようになる。体重が減るのは、基本的にはそのプロセスの副作用だ。体重は、汗をかいたり排尿したりすると水として、息を吐くと二酸化炭素として排出される。実を言うと、肺は脂肪の主要な排出器官なのだ。
身体は、安静時に常に実行している基本的なプロセス(基礎代謝)と、それに加えて実行する身体活動でエネルギーを使っている。後者を活動代謝という。
筋肉を作り維持するには、脂肪より多くのエネルギーを必要とするため、筋肉量を増やすとより多くのカロリーが消費される。筋肉量が増えると基礎代謝が高まる。これにより、ウェイト・リフティングや他のタイプの筋力トレーニングをすることで、身体組成を有効に変えられるメカニズムが説明できる。食事量を極端に制限すると、代謝が調整されて、基本的な活動で消費されるカロリーが少なくなる。身体はエネルギーを得るために筋肉を分解し始め、その結果、代謝が悪くなる。絶妙に調整された身体の化学作用をないがしろにして体重を減らす近道を見つけようとすると、裏目に出るかもしれない。
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