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The EPA Is Bracing for Big Change

トランプ政権の米環境保護庁大幅縮小で温暖化阻止は危機的状況

トランプ政権が環境保護予算を大幅に削減し、国防予算を540億ドル増額する方針を示した。議会が承認すれば、地球温暖化対策など、米国の環境保護政策は大幅に縮小される。 by Jamie Condliffe2017.03.01

Scott Pruitt addresses Environmental Protection Agency staff earlier this month.
米国環境保護庁の職員に向けて就任演説をするスコット・プルイット新長官(2月)

米国環境保護庁(EPA)が、大規模な刷新に向けて準備を進めているようだ。

2月27日、ドナルド・トランプ大統領は政権初の国家予算の概略を示し、国家安全保障の強化のため、国防予算を540億ドル増額することを盛り込んだ(詳細不明)と述べた。もちろん、増額分は他の政府機関の予算を回すことになる。ホワイトハウスが示唆しているように、もっとも打撃を受けるのはEPAになりそうだ。

影響はかなり大きいだろう。EPAは「大規模な予算の移行により、特に気候変動関連政策の予算が削減」される見込みだ、と当局者がアクシオス(Axios)に語った。現在、EPAの予算は83億ドルで、1万5000人の職員がいる。だが、トランプの政権移行チームを率いるミーロン・エベルの分析では、新政権はEPAの職員数を5000人にまで削減してもよいと見積もっている。

EPAの職員が関わる環境保護規制が減るのは明白だ。先週末、EPAのスコット・プルイット長官は、EPAの従来の政策の多くを「徹底的に撤廃していく」と述べた。プルイット長官は特に、クリーン・パワー・プランとメタンガス排出基準、水質規制の廃止に言及した。MIT Technology Reviewのジェームス・テンプルの記事にあるとおり、EPA関連の政策を劇的に転換すれば、パリ環境協定で米国に求められる削減目標は、まったく達成できなくなる。

トランプ政権のポピュリズム的性格と矛盾するのは、環境予算の削減が世論を反映していない事実だ。約1カ月前にシンクタンクのピュー研究所が発表した報告書によれば、米国人の65%は再生可能エネルギーの優先を支持する一方、化石燃料の使用拡大を支持したのは27 %だけだったのだ。

トランプ政権は今後数週間で予算を詰め、来月には議会への提出準備が整うと見込まれる。予算教書は、承認に向けて議会で詳細に議論される(米国の制度では、連邦政府の予算を編成するのは連邦議会で、大統領には議会に方針を示すことしかできないため「予算案(budget bill)」ではなく「予算教書(Budget Message of the President)」と呼ぶ)。だが、トランプ政権の方針どおりにことが進めば、一般の米国人が何を考えているかに関わらず、EPAの従来の政策は見る影もなくなるだろう。

(関連記事:New York Times, Scientific American, “トランプ政権、エネルギー政策で世論無視,” “How Much Damage Could Scott Pruitt Really Do at EPA?”)

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クレジット Photograph by Aaron P. Bernstein | Getty
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
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