KADOKAWA Technology Review
×
「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集中!
海藻で地球を救えるか? シミュレーションで分かった厳しい現実
Michael S. Lewis / Getty Images
気候変動/エネルギー 無料会員限定
Seaweed farming for carbon dioxide capture would take up too much of the ocean

海藻で地球を救えるか? シミュレーションで分かった厳しい現実

海で海藻を養殖して二酸化炭素を吸収させることで、地球温暖化を防ごうとするアイデアが注目されている。米国の研究チームが、このアイデアが現実的であるかどうかを調べるためにシミュレーションを実行した。 by Rhiannon Williams2023.06.20

地球温暖化の深刻な危険を回避するには、大気中の二酸化炭素(CO2)を大量に除去することが不可欠であることは、専門家の共通認識となっている。そのため、ここ数年、海藻を育てて空気中の二酸化炭素を海に閉じ込めることに焦点を当てたプロジェクトが、米国政府やアマゾンなどの民間企業から注目され、多額の資金を獲得している。

問題は、気候変動に関する目標の達成に必要な量の海藻を栽培することは、結局のところ現実的ではないかもしれないということだ。

ネイチャー・コミュニケーションズ・アース・アンド・エンバイロメント(Nature Communications Earth & Environment)誌に6月15日に掲載された新しい研究によると、1年間で10億トンの二酸化炭素を大気から除去するには、約100万平方キロメートルの海を養殖場にする必要があると推定されている。海岸線沿いでは海運業や漁業との競合があるため、海藻が生育しやすい場所にそれだけのスペースを確保するのは容易ではない。

このことを踏まえて、気候目標を達成するためには、温室効果ガスの排出量を大幅に削減することに加え、毎年25億トンから130億トンの二酸化炭素を大気中から回収する必要があると、この研究の著者たちは述べている。

さまざまな科学モデルでは、地球 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. AI can make you more creative—but it has limits 生成AIは人間の創造性を高めるか? 新研究で限界が明らかに
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2024 「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集のお知らせ
  3. A new weather prediction model from Google combines AI with traditional physics グーグルが気象予測で新モデル、機械学習と物理学を統合
  4. How to fix a Windows PC affected by the global outage 世界規模のウィンドウズPCトラブル、IT部門「最悪の週末」に
  5. The next generation of mRNA vaccines is on its way 日本で承認された新世代mRNAワクチン、従来とどう違うのか?
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る