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CO2排出「責任論」、単一指標では語れない複雑な現実
Costfoto/NurPhoto via AP
Who’s to blame for climate change? It’s surprisingly complicated.

CO2排出「責任論」、単一指標では語れない複雑な現実

地球温暖化の責任やそれに伴う問題解決のための費用分担を考える際に、「最大の汚染国はどこか」という単純な議論が繰り返されている。現在の排出量、歴史的な累積、人口比という3つの指標で見ると、評価は大きく異なってくる。 by Casey Crownhart2024.11.25

この記事の3つのポイント
  1. 中国は現在最大の温室効果ガス排出国だが歴史的排出量では米国に次ぐ
  2. 米国は歴史的に最も温暖化に寄与しており現在の排出量でも2位
  3. 1人当たり排出量ではオーストラリア米国カナダが多く中国やインドは少ない
summarized by Claude 3

世界の温室効果ガス排出量は、2024年に再び過去最高を更新すると予測されている。

政治情勢が変化し、国際的な協議が続いている今、多くの人々が、気候変動の大きな原因になっているとして、どこか特定の国を短絡的に非難している。

しかし、責任の所在の特定は複雑である。これから示す3つの視覚化されたデータが、その理由を説明するのに役立ち、世界最大の汚染国についていくつかの視点を提供してくれる。

11月13日に発表された年間排出量報告書「世界の CO2収支(Global Carbon Budget)」の予測によると、化石燃料と産業界から排出される温室効果ガスの量は、2024年中に二酸化炭素374億トン分に達するという。この量は、昨年より0.8%多い。

国別に見ると、現在、中国がダントツで最大の汚染国であり、2006年以来ずっとその称号を保有している。中国は現在、他の国のおよそ2倍の量の温室効果ガスを排出している。中でも最大の排出源は、電力部門だ。送電網が、最も汚染を助長する化石燃料である石炭に大きく依存しているためである。

世界第2位の汚染国は米国で、次にインドが続く。4番目は欧州連合(EU)を構成する27カ国の合計排出量で、その次がロシアと日本である。

化石燃料および産業界からの年間排出量。縦軸は「二酸化炭素の排出量(百万メートルトン)」、横軸は「年(1950年から2020年)」を表す。

しかし、1つの国の現在の排出量を考慮するだけでは、気候変動に対するその国の責任の全体像は見えてこない。二酸化炭素は大気中で何百年にもわたり安定して存在している。つまり、19世紀後半に最初に稼働した石炭火力発電所から排出された温室効果ガスが、現在もまだ地球温暖化に影響を与えているのだ。

各国の歴史をさかのぼって排出量を合計していくと、米国が歴史的に最も大きく温暖化に寄与していることが明らかになる。2023年時点で大気中に放出された気候汚染物質全体の約24%が、米国によるものなのだ。中国は現在最大の汚染国だが、歴史的な排出量では2位の14%である。

EU加盟国を1つのまとまりとして合計した場合、このグループは歴史的な排出量でも上位に入る。「カーボン・ブリーフ(Carbon Brief)」が11月19日に発表した分析によると、歴史的な排出量については、2023年に中国が初めてEU加盟諸国の合計を上回った。

1850年~2023年の総累積排出量。縦軸は「国または地域」、横軸は「炭素排出量(百万メートルトン)」を表す。

米国とEUの排出量が緩やかに減少しているのに対し、中国の排出量はまだ著しく増加している。そのため、今後数十年で中国が歴史的排出量で西側諸国に追いつく可能性がある。

しかしそうだとしても、考慮すべき別の要素がある。人口だ。各国の総排出量をその国の人口で割ると、それぞれの平均的な個人が現在、気候変動にどの程度寄与しているか明らかになる。

その場合、サウジアラビア、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)など、人口が比較的少なく、経済が石油やガスに大きく依存している国が上位を占めやすくなる。

比較的規模の大きな国の中で、1人当たりの化石燃料からの排出量が最も多いのはオーストラリアであり、僅差で米国とカナダが続く。一方、総排出量が多い他の国々は、人口で標準化するとずっと下位に落ちる。中国の1人当たりの排出量は米国の半分強に過ぎず、インドはほんのわずかな量である。

1人当たりの排出量。各国の1人あたりの年間炭素排出量(単位:メートルトン)を視覚化したもの。色が濃いほど1人あたりの排出量が高い。

特に、第29回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)などで気候変動対策の費用負担について発展途上国を支援する方法の協議が続いている中で、世界の排出量の複雑な全体像を理解することは極めて重要である。

現在の排出量に注目すれば、最大の排出国である中国が、他のどの国よりも気候資金により多く貢献するべきであると考えるかもしれない。しかし、歴史的な拠出量、1人当たりの排出量、国家経済に関する詳細を考慮した場合、米国、英国、EU加盟諸国といった他の国々が浮上する。それらの国は、資金負担の協議において専門家たちから、主要な役割を果たすべきであると指摘されることが多い。

はっきりしているのは、温室効果ガス排出の責任のなすり合いに関しては、現在最大の汚染国を指さすだけでは済まない、もっと複雑な状況があるということだ。結局のところ、気候変動への対処には、すべての人々の参加が必要になる。私たちは全員、大気を共有しており、これからも気候変動の影響を感じ続けるのだ。


データ収集の方法論に関する注記

排出量のデータはグローバル・カーボン・プロジェクト(Global Carbon Project)のものであり、エネルギー使用量に基づいて二酸化炭素排出量が推定されている。地域別排出量にはエネルギーと一部の産業が考慮に入れられているが、土地利用の排出量は含まれていない。

EUのデータは、現在の加盟27カ国の合計である。EU加盟諸国は通常、国際的な場でまとまって交渉するため、EU圏として表されている。

  • 一部の国の歴史的な排出量は、旧ソビエト連邦やユーゴスラビアなど、旧国境に従って個別集計されている。
  • 一人当たりの排出量マップは、台湾を除いて世界銀行が定める公式な境界線を使用している。台湾の排出量に関しては、グローバル・カーボン・プロジェクトに個別のデータがある。
  • 西サハラのエネルギーデータはモロッコによって報告されているため、同地域の排出量はモロッコの合計に含まれている。モロッコの1人当たり排出量は、地図上で西サハラにも使用されている。

グローバル・カーボン・プロジェクトのデータ収集方法に関する詳細(地域別排出量の内訳に関する詳細を含む)は、ここで見ることができる

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ケーシー・クラウンハート [Casey Crownhart]米国版 気候変動担当記者
MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。
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