中古EVバッテリーでAI向け電力供給、リサイクル企業が新事業
バッテリー・リサイクル企業であるレッドウッド・マテリアルズは、EV用バッテリーを再利用して再生可能エネルギー発電による小規模送電網を構築し、最近のAIブームで電力需要がますます高まっているデータセンターに供給することを計画している。 by James Temple2025.07.04
- この記事の3つのポイント
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- レッドウッド・マテリアルズが中古EVバッテリーを再利用したマイクログリッドを構築
- 同社は太陽光発電と蓄電システムでAIデータセンターに電力を供給している
- クルーソーがこの電力を使用して2000台のGPUでAI処理を実行している
米国ネバダ州リノ郊外にある砂漠地帯の工業用地では、電気自動車(EV)を動かすのに使われていたバッテリー・パックが現在、小規模な人工知能(AI)用データセンターに電力を供給している。
米大手バッテリー・リサイクル企業のレッドウッド・マテリアルズ(Redwood Materials)は6月26日、本社で開催された報道機関向け見学会で、コンクリートブロックの上に置かれて防水プラスチックで包まれた、この大量のエネルギー貯蔵モジュールを自慢げに披露した。
見学会は、同社の新たな事業部門であるレッドウッド・エナジー(Redwood Energy)の立ち上げを記念して開かれたものだ。レッドウッド・エナジーは当初、数年の寿命が残っている電池を(リサイクルではなく)再利用して、再生可能エネルギーで電力を供給するマイクログリッド(小規模送電網)を構築する予定だ。そのような小規模なエネルギーシステムは、より規模の大きい送電網と接続しても、あるいはしなくても運用が可能であり、企業や地域社会に電力を供給することができる。
レッドウッド・マテリアルズによれば、同社が回収して処理するバッテリーの多くは、半分以上の容量が残っているという。
「リサイクルする前にエネルギー貯蔵プロジェクトで利用することで、バッテリーからより多くの価値を引き出すことができます」。レッドウッドの創業者兼最高経営責任者(CEO)であるJ.B.ストラウベルは見学会で語った。
タホ・リノ産業センター(Tahoe Reno Industrial Center)内の同社施設に設置されているこの最初のマイクログリッドは、太陽光パネルによって電力が供給される。64メガワット時の発電が可能であり、このようなシステムとしては国内最大級のものとなっている。その電力は、暗号通貨採掘からAIデータセンターの開発に軸足を移したクルーソー(Crusoe)に供給されている。クルーソーは、再利用EVバッテリーが置かれた場所と隣接する土地に、2000台の画像処理ユニット(GPU)を備える施設を建設した。
この施設は、現代のデータセンターとしては非常に小規模である。フォーブス誌によると、クルーソーはテキサス州アビリーンでオープンAI(OpenAI)などのために5000億ドル規模のAIデータセンターの開発を進めており、2025年末までに最初の2つの施設に合計10万台のGPUを設置する見込みだ。
レッドウッドのプロジェクトは、データセンターへの電力供給を部分的に、あるいは完全に送電網の外で賄うことに対する、関心の高まりを浮き彫りにしている。このようなマイクログリッドは、従来の発電所よりもすばやく建設できるだけ …
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