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フォードが低価格EVトラック、逆風を跳ね返せるか
AP Photo/Darron Cummings
The US could really use an affordable electric truck

フォードが低価格EVトラック、逆風を跳ね返せるか

フォードが2027年発売予定の3万ドル電動トラックを発表した。新製造プロセスとコスト削減により手頃な価格を実現するとしている。過去の失敗に加え、トランプ政権のEV支援削減や市場成長鈍化など逆風が強まる中、実現できるか。 by Casey Crownhart2025.08.15

この記事の3つのポイント
  1. フォードが2027年納車予定で約3万ドルの手頃な電動トラックを発表した
  2. 同社は新製造プロセスとコスト削減技術でEV部門の損失回復を目指す
  3. 米国EV市場の成長予測は大幅下方修正され実現性に疑問視する声もある
summarized by Claude 3

フォード(Ford)は8月11日、コスト削減に役立つという新たな製造プロセスにより、2027年に納車予定で価格約3万ドルの手頃な電動トラックを計画していると発表した。

これは、減速する米国の電気自動車(EV)市場にとって起爆剤となる可能性がある。EVの販売は鈍化しており、特にフォードは最近苦戦を強いられている。過去2年半で同社のEV部門は120億ドルの損失を計上した。さらにEV普及の障壁は増し続けており、トランプ政権は税額控除やゼロエミッション車への移行を促す規制を削減している。関税の問題もある。

しかし、米国人の関心を引きつけられるものがあるとすれば、それはトラックである。特にそれが手頃な価格であればなおさらだ(例えば、今年初めにジェフ・ベゾスが支援するスレート・オート=Slate Autoから発表された、必要最低限の装備に絞ったトラックは大きな話題となった)。最大の問題は、同社がこの環境下で本当に目標を実現できるかどうかである。

ここで注目すべき重要な点が1つある。フォードが「すべてを変える」とされたトラックを大々的に発表するのは、今回が初めてではないということである。「F-150ライトニング(F-150 Lightning)」は車両電動化の転換点として称賛され、脱炭素化が新たな時代に入ったことを示す象徴だった。本誌が2023年の「ブレークスルー・テクノロジー10(世界を変える10大技術)」のリストに「避けられないEVシフト」を選出した際、このトラックの名前を挙げたほどだ。

だが、事態はそう進まなかった。問題の1つは、ライトニングが比較的手頃な価格で提供されるはずだったという点である。2021年に最初に発表された際の価格は約4万ドルだったが、2022年に実際に販売が開始された時には、5万2000ドル〜に膨らんでいた。

トラックは当初高い人気を博し、販売店では入手困難だった。しかし価格が上昇するにつれ、関心は落ち着いた。2023年には、ベースモデルの価格は約6万ドルに達した。過去数年にわたり、フォードはライトニングの生産を何度も削減し、トラックを組み立てていた従業員を解雇した。

しかし今、フォードは再び手頃な価格のトラックを約束しており、今回はさらに安価になる見込みである。コスト削減を図るため、同社は新しいEV群向けに汎用プラットフォームを1種類に集約するとしている。共通の構造と部品セットを使用することで、中型トラックのみならず、他のトラック、バン、SUVの生産も効率化される。また、製造プロセスにも変更が加えられる予定であり、1つの組立ラインではなく、複数のラインが結合して「組立ツリー」と呼ばれる工程を形成するという。

バッテリーも、コスト削減の重要な要素となる。同社はリン酸鉄リチウム(LFP)セルの採用を計画している。これはニッケルやコバルトを含まないタイプのリチウムイオンバッテリーであり、これらの比較的高価な金属を使用しないことで、コスト削減が可能となる。

補足すると、このバッテリーは驚くほど小さい可能性がある。報道によれば、フォードの関係者はメディア向け説明会で、新型トラックのバッテリーは、中国の自動車メーカーであるBYDのSUV車「アット3(Atto 3)」に搭載されているものより15%小さくなると述べたという。このBYDのモデルは約60キロワット時のバッテリー・パックを搭載しており、新しいバッテリーは51キロワット時程度になる可能性がある。これはライトニングのバッテリー容量の半分にすぎず、現在のテスラ・モデル3で提供されている最小パックと同程度である(つまり、このトラックの航続距離は比較的短くなる可能性があるが、同社はまだその点について詳細を明かしていない)。

大企業の発表で大げさな約束が並ぶこと自体は珍しくない。しかし、今回のイベントで見られた関係者の語り口は、これまでとは異なっていた。

ザ・バージ(The Verge)が指摘したように、「フォードは自社のタイミングが悪いことを理解している」ようだ。発表時、経営陣はこれは賭けであり、うまくいかない可能性もあると強調していた。

最高経営責任者(CEO)のジム・ファーリーは率直に語った。「この国では善意をもって発売された手頃な価格の車両が、自動車業界の墓場を埋め尽くしています。そしてそれらは、稼働停止となった工場、解雇された労働者、そして赤字とともに消えていきました」。手厳しい発言である。

現在の米国EV市場の状況を考えると、今回の発表が過去の失敗例と異なる結果を生むと楽観的に見るのは難しい。

6月に発表された新しいレポートにおいて、エネルギーコンサルタント会社のブルームバーグNEFは、今後のEV普及に関する予測を大幅に引き下げた。昨年、同社は2030年に米国で販売される新車の48%が電気自動車になると予測していたが、今年の予測ではわずか27%に引き下げている。

明確にしておくと、BNEFなどの各種調査は、道路上を走るEVの数は将来的に現在よりも増えると予想している。これは、米国での新車販売におけるEVの割合が現在は10%未満であるためである。しかし、公的支援の大幅な削減もあり、期待値は大きく低下している。

新車購入時に最大7500ドルの割引を提供していた税額控除制度は、あと1カ月余りで終了する。また、関税により輸入鋼材やアルミニウムに依存するフォードのような国内メーカーでもコストが上昇することになる。

製造プロセスの刷新と、より安価で魅力的な車両の投入は、米国EV市場で自動車メーカーにとって必要な一手となり得る。しかし、このトラックが市場の潮流を変える力を持つかについては、懐疑的である。

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ケーシー・クラウンハート [Casey Crownhart]米国版 気候変動担当記者
MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。
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