偽情報専門家にビザ拒否、
トランプ政権の「恫喝」に
研究者団体が訴訟で反撃
ファクトチェックやオンライン安全の研究に携わる外国人専門家に対し、トランプ政権はビザ拒否・取り消しという手段で圧力をかけてきた。47カ国500人の研究者・機関を擁するCITRは5月13日、この政策を「著しく曖昧」で違憲とする訴訟を法廷に持ち込んだ。移民法を言論統制の道具に変えた政権に対し、合衆国憲法修正第1条は盾になるのか。 by Eileen Guo2026.05.26
- この記事の3つのポイント
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- テクノロジー研究者団体CITRがトランプ政権のビザ制限政策を違憲として提訴し、初の法廷審理が行われた
- 政権は移民国籍法を根拠に偽情報研究者らを「検閲への関与」として広く標的にしており、定義の曖昧さが萎縮効果を生んでいる
- 訴訟の帰趨はソーシャルメディアの独立した監視体制の存続を左右し、民主主義の情報環境全体に影響を及ぼしうる
米トランプ政権は政権復帰当初から、インターネット上のヘイトスピーチ、ハラスメント、プロパガンダ、偽情報を研究し、その対策に取り組む研究者たちを標的として、追い詰めてきた。
今、そうした研究者たちの一部が反撃に出ている。5月13日、彼らが起こした訴訟が初めて法廷に登場した。この訴訟は、オンラインの安全性と言論の自由に関して、世界的な影響を及ぼす可能性がある。
この争いは1年前に始まった。米国務長官のマルコ・ルビオが「米国人の検閲に加担している」「外国の当局者やその他の人物」に対する「ビザ制限政策」と称するものをXで発表したのだ。それ以来、少数の外国当局者や研究者が米国への渡航を禁じられており、理論上はファクトチェックやオンラインの信頼・安全に関わる業務に携わる者であれば誰でも同様の制限に直面する可能性がある。
それでも、ルビオ長官の発表が持つ具体的な意味合いは依然として不明確であり、そしてそれは意図的なものだと、研究者たちの代理人を務める弁護士キャリー・デセルは主張する。「この政策は広範かつ著しく曖昧であり、それに伴う萎縮効果も相応に甚大です」とデセル弁護士は5月13日、ワシントンDCの法廷外で述べた。
訴訟を起こしたのは、テクノロジー研究者のための擁護団体である、独立技術研究者連合(Coalition for Independent Technology Research:CITR)だ。同団体はルビオ長官、元米国土安全保障長官のクリスティ・ノエム、元米司法長官のパム・ボンディを提訴し、当該政策を違憲として廃止するよう裁判所に求めている。訴状の中で原告側は、この政策が「(テック)プラットフォーム上のコンテンツのより適切なモデレーションを支援する」業務に従事する外国生まれのテクノロジー研究者や労働者の言論の自由と適正手続きの権利を侵害していると主張している。
CITRの代理人は、コロンビア大学の「ナイト・ファースト・アメンドメント・インスティテュート(Knight First Amendment Institute)」と法律系非営利団体の「プロテクト・デモクラシー(Protect Democracy)」が務めている。ナイト・インスティテュートの上席スタッフ弁護士であるデセルは、MITテクノロジーレビューに対し、トランプ政権が事実上「移民法を利用して、自らと意見の異なる見解を表明した人々を罰しようとしている」ために法廷に立っていると語った。
原告側はまず、訴訟の審理が続く間、ビザ制限を停止するよう政府に求めている。ルビオ長官およびその他の被告の代理人を務める連邦検察官補のザカライア・リンジーは先週の審理で、政府が標的にしているのは言論ではなく、「外国政府による言論の自由の検閲を支援または促進する行為」だと主張した。週末には政府側が訴訟の棄却申し立てを提出した。
裁判官はいずれの申し立てに対してもまだ判断を下しておらず、これまでの質問は国務省の発表によって実際に何が(そして誰が)影響を受けるのかを精査することや、その他の手続き上の問題に焦点を当てているようだ。
この訴訟の結果は、ソーシャルメディアとAIのリスクについて一般市民がどれだけ知ることができるかに最終的に影響を与えるかもしれないと、プロテクト・デモクラシーのテクノロジー・データ・ガバナンスチームを率いるニコール・シュナイドマンは言う。この訴訟を起こした労働者たちは、「一般市民を教育し、テック企業に説明責任を果たさせ、先端技術が社会に与える影響を研究するという、非常に重要な役割を担っています」と語る。
「政治的な魔女狩り」
CITRの訴訟は、インターネットをどのように、そして誰がモデレートすべきかをめぐる数年来の争いにおける最新の一手だ。この問題はますます政治化し、検閲をめぐる主張と複雑に絡み合っている。
トランプ大統領とその支持者たちは長年にわたり、政府機関、市民社会団体、学者、大手テックプラットフォームが結託してネット上の保守派の声を意図的に検閲しているという巨大な陰謀の被害者であると主張し、訴え続けてきた。この主張によれば、いわゆる「検閲産業複合体」がバイデン政権を助け、こうした団体への検閲の外部委託を通じて合衆国憲法修正第1条の言論保護を骨抜きにしたとされている。
米国務省は、移民国籍法がルビオ長官に対し、米国への入国が「米国の対外政策に潜在的に深刻な悪影響を及ぼす可能性がある」外国人を入国不許可にする権限を与えているとして、この移民政策の実施が可能だったと主張している。現トランプ政権以前、この法律 …
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