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地上から系外惑星を撮る——若手天文学者、10年越しの挑戦
Winni Wintermeyer
An Earthling’s guide to planet hunting

地上から系外惑星を撮る——若手天文学者、10年越しの挑戦

地球上の大気の乱れは、地上観測で新しい太陽系外惑星を検出することを困難にしている。天文学者レベッカ・ジェンセン・クレムは、望遠鏡の鏡を星のまたたきよりも速く微調整することで、地上の天文台から太陽系外惑星を発見する方法を研究している。 by Jenna Ahart2025.10.17

この記事の3つのポイント
  1. ジェンセン=クレム准教授が地上望遠鏡で太陽系外惑星を直接検出する新技術を開発した
  2. 従来は大気の歪みにより地上からの惑星観測は困難で宇宙望遠鏡に頼る必要があった
  3. 2026年のガイア衛星データ公開に向け新技術の実用化と大量の太陽系外惑星発見が期待される
summarized by Claude 3

レベッカ・ジェンセン=クレムが身につけているネックレスのペンダントは、幅約2.5センチメートル。36個の銀の六角形がハニカム模様に組み合わされているものだ。ハワイのケック天文台では、同じ数の六角形が直径10メートルの鏡を構成し、彼女が研究する未知の世界の像を反射している。

カリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC)の天文学者であるジェンセン=クレム准教授は、ケック天文台と共同で、地上から新しい惑星を検出する方法を研究している。通常、この探求は数多くの障害に直面する。風、大気密度や温度の変動、さらには望遠鏡の鏡のずれでさえ、恒星の光をぼんやりさせ、周囲にあるものの視界を遮り、恒星を周回する惑星を事実上見えなくしてしまう。そして地球の大気は遮られない光を吸収してしまう。そのため、これらの遠い世界を研究する研究者たちは、100億ドル規模のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope:JWST)のように、地球の厄介な大気の問題を完全に回避できる宇宙望遠鏡の力を借りることが多い。

しかし、これらのハードルを越える別の方法がある。セコイアの巨木の森の中にある研究室で、ジェンセン=クレム准教授と学生たちは、ケック天文台の主要なハニカム鏡とより小さな「可変形」鏡がより鮮明に見えるようにする新しい技術とソフトウェアを実験している。大気センサーからの測定値を使用して、可変形鏡は形状を迅速に調整するよう設計されており、地球の大気によって引き起こされる歪みをリアルタイムで補正できる。

補償光学と呼ばれるこの汎用的な撮像技術は、1990年代から広く用いられてきた。しかしジェンセン=クレム准教授は、小さな視野で最高の画質を作り出すことを目的とした極限補償光学技術によって、さらに上に行こうとしている。特に同准教授の研究チームは、風や主鏡自体に関わる問題に取り組むことでそれを実現している。目標は、惑星がその主星より100万倍から10億倍暗くても見えるほど正確に星の光を集束することである。

4月、ジェンセン=クレム准教授と元共同研究者のマーイケ・ファン・コーテン博士は、ブレークスルー賞財団(Breakthrough Prize Foundation)の物理学新地平賞の共同受賞者に選ばれた。この若手研究者向けの賞では、2人の女性がキャリアを通じて開発してきたさまざまな手法を通じて、「最小の太陽系外惑星の直接検出を可能にする」可能性が評価された形だ。

7月、ジェンセン=クレム准教授は、宇宙で生命の兆候を探すことを専門とするNASA(米航空宇宙局)宇宙望遠鏡の構想である「ハビタブル・ワールド天文台(Habitable Worlds Observatory)」の新委員会メンバーにも選ばれた。彼女は2020年代末までにミッションの科学的目標を定める任務を負っている。

The Keck Observatory’s 10-meter primary mirror features a honeycomb structure with 36 individual mirror segments.
ケック天文台の10メートル主鏡は、36枚の個別の鏡からなるハニカム構造を備えている。
ETHAN TWEEDIE

「補償光学では、シミュレーションや実験室で多くの時間を過ごします」とジェンセン=クレム准教授は言う。「ここ数年、天文台で改善の成果を実際に見るまでは長い道のりでした」。

ジェンセン=クレム准教授は長い間、天文学に心を揺さぶられてきた。中学1年生のとき、航空宇宙エンジニアである父親からブラックホールの概念を説明され、その付近で時間の進み方が遅くなるという話に魅了された。2008年にマサチューセッツ工科大学(MIT)に入学すると、遠い恒星の光が、前を通る天体の種類によって、突然消えたり穏やかに薄れたりすることに夢中になった。「太陽系外惑星科学とは異なる分野でしたが、多くの重なりがありました」と同准教授は言う。

「夜空の星は、速くまたたいています。ですから、鏡を速く動かさなくてはなりません」。

この時期、ジェンセン=クレム准教授は、ティーチング・アシスタントからNASAのジェット推進研究所(JPL)でのインターンシップを勧められた後、受賞の対象となった方法の一つの種をまき始めた。大きな鏡の向きを完璧に調整できる装置の開発に取り組んだのだ。このような鏡は、地球の変動する大気に対応する形状変化セグメントを持つ、より小さな可変形鏡よりも再調整が困難である。

「当時、私たちは『ああ、これをケック天文台に設置できたら本当にクールでしょうね』と言っていました」とジェンセン=クレム准教授は言う。そのアイデアは残った。カリフォルニア工科大学で大学院の研究を始める準備をしていたとき、フェローシップの申請書にもそのことを書いた。そして何年もの試行錯誤の開発を経て、ジェンセン=クレム准教授は約1年前に、ゼルニケ(Zernike)波面センサーと呼ばれる技術を使用するシステムをケック天文台の主鏡に設置することに成功した。「大学のインターンとしての私の仕事がようやく完了しました」と同准教授は言う。

現在、連続調整ではなく時折の再較正に使用されているこのシステムには、鏡からの光線を曲げて特定のパターンを明らかにする特殊なガラス板が含まれている。検出器はその画像の髪の毛ほどの細さのずれを検出できる。一つの六角形が前後に押し過ぎられると、その明るさが変わる。「暗い天体を観測しているときには、小さなミスに突然の影響を受けやすいため」、最小のずれでも修正することが重要だとジェンセン=クレム准教授は言う。

同准教授はまた、ケック天文台の可変形鏡を成形する技術の完成にも取り組んでいる。主鏡から再ルーティングされた光を反射するこの装置は、幅わずか15センチメートルとはるかに小さく、大気の乱流の影響を受けても可能な限り鮮明な画像を作成するために、1秒間に2000回もの頻度で位置を変更するよう設計されている。「夜空の星は速くまたたいています。ですから鏡を速く動かさなくてはなりません」。

この迅速な再調整率でも、まだ遅延がある。可変形鏡は通常、任意の時点での実際の屋外条件より約1ミリ秒遅れている。「補償光学システムが追いつけないと、最高の解像度は得られません」と、現在カナダ国立研究評議会にいるジェンセン=クレム准教授の元共同研究者、ファン・コーテン博士は言う。この遅延は特に風の強い夜に問題となることが証明されている。

ジェンセン=クレム准教授はそれが解決不可能な問題だと考えていた。「遅延がある理由は、計算を実行してから可変形鏡を動かす必要があるからです。計算と鏡の移動を瞬時に終わらせることとは決してできません」。

しかし同准教授は、カリフォルニア大学バークレー校でまだ博士研究員だったとき、解決策を提示する論文に出会った。その著者たちは、リアルタイムで追いつこうとするのではなく、以前の測定値と単純な代数を使用して大気がどのように変化するかを予測することで、より良い結果が得られると提案した。当時はそのアイデアをテストできなかったが、UCSCに来てケック天文台と協力することで完璧な機会が提供された。

この頃、ジェンセン=クレム准教授は予測ソフトウェアへの共通の関心から、ファン・コーテン博士を博士研究員としてUCSCのチームに招待した。「最初は住む場所がなかったので、ジェンセン=クレム准教授が客室に泊めてくれました」とファン・コーテンは博士は言う。「彼女はあらゆるレベルでとても支援的です」。

ケック天文台で試すための実験的ソフトウェアを作成した後、研究チームは予測版とより標準的な補償光学を比較し、それぞれが星の光に埋もれることなく太陽系外惑星をどれだけうまく撮像するかを調べた。すると、予測ソフトウェアは暗い太陽系外惑星でさえ2~3倍鮮明に撮像できることがわかった。ジェンセン=クレム准教授が2022年に発表したこの結果は、彼女が物理学新地平賞を受賞した理由の一つである。

テキサス大学サンアントニオ校の天文学者であるセイン・カリー准教授は、欧州南天天文台(European Southern Observatory )の超大型望遠鏡やチリの大マゼラン望遠鏡(Giant Magellan Telescope)などの今後のプロジェクトをはじめとして、研究者たちが太陽系外惑星の画像を捉えるためにより大きな地上施設を建設するにつれて、これらの新しい技術が特に重要になると言う。「私たちが宇宙について学んでいることは信じられないほど多く、それは非常に新しい技術の進歩によって本当に推進されています」とカリー准教授は言う。「ジェンセン=クレム博士の研究は、そのような革新の例です」。

5月、ジェンセン=クレム准教授の研究室の大学院生の1人がハワイに戻り、ケック天文台に予測ソフトウェアを再インストールした。今回、プログラムは単なる試行ではなく、恒久的に設置されている。新しいソフトウェアは人工的な星の光を再集束できることを示した。次に、本物を扱えることを証明しなければならない。

そして約1年後、ジェンセン=クレム准教授と学生、同僚たちは、10年以上にわたって数十億の恒星の運動、温度、組成を測定し終えた欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡ミッション「ガイア(Gaia)」で得られた大量の観測データに備えることになる。

ガイア・プロジェクトが次のデータセットを公開するのは、2026年12月の予定だ。ジェンセン=クレム准教授らのチームは、恒星の周りを周回する惑星の重力による引力によって引き起こされる恒星の運動の揺れなどの手がかりを使用して、新しい太陽系外惑星系を探すことを目指している。惑星系が特定されると、太陽系外惑星写真家たちは、その大気や温度についてより多くを明らかにできるケック天文台の新しい装置を使用して、隠れた惑星を撮影できるようになる。

整理すべきデータが大量になり、再集束すべき星の光も急速に得られるようになるだろう。幸い、ジェンセン=クレム准教授は必要な技術を10年以上かけて洗練させてきた。「来年の今頃、これらのシステムにすべての補償光学の技術が投入され、これらの天体を可能な限り多く検出するのを競い合っているでしょう」。

筆者のジェナ・アハートは物理科学を専門とする科学ジャーナリストである。

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