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AIの試験運用は失敗続き、それでもなぜ投資をやめないのか?
Stephanie Arnett/MIT Technology Review | Adobe Stock
An AI adoption riddle

AIの試験運用は失敗続き、それでもなぜ投資をやめないのか?

GPT-5の期待外れ、試験運用の大半が失敗、株価下落——悪いニュースが続く中、AI投資を止める企業を探した。だが見つからなかった。これは企業が長期的に考えているのか、それともバブルの証拠なのか。 by James O'Donnell2025.10.31

この記事の3つのポイント
  1. MITレポートで企業の生成AI試験運用の95%が失敗と判明し株式市場が一時パニックに陥った
  2. AI技術への過度な期待と実際の進歩速度との乖離により企業は技術の真の価値を模索中である
  3. 上場企業はAI投資圧力下にあるが実用化の課題と撤退リスクの狭間で戦略見直しが困難な状況
summarized by Claude 3

数週間前、私は単純明快な取材になると思っていた案件に着手した。

人工知能(AI)は何年もの間にわたって世間を席巻し、たとえそれが世界にとって良いものではないにせよ、おそらくは真剣に受け止めるに値する強力な技術だと思われてきた。だが、AIへの誇張された期待はいま、若干しぼんでしまっている。1つには、8月にリリースされたオープンAI(OpenAI)の「GPT-5」が期待外れであったことが挙げられる。加えて、前後して発表されたマサチューセッツ工科大学(MIT)のレポートで、企業における生成AIの試験運用の95%が失敗していることが判明し、株式市場は一時パニックに陥った。そこで私は、実際にAIへの投資を縮小するほど動揺している企業がどこなのか、知りたいと考えた。

そうした企業を探し回っているうちに、さらなるニュースが、AIバブルという考えを後押しした。AIバブルが弾けたら、経済全体に破滅をもたらすだろうというニュースだ。AI支出の循環的性質、従業員の解雇、AIが自分たちに何をもたらすのかを企業が正確に説明できない無能力についての話が広まった。現代のAIシステムを構築している最も賢い人々でさえ、この技術はエバンジェリストたちが約束したほど進歩していないと話していた。

しかし、あらゆる方面を探し回った挙句、こうした展開をAIに全力を注がない兆候として受け取った企業は見つからなかった。少なくとも、それを認めようとする企業は皆無だった。一体どういうことなのか?

私の探求にはいくつかの解釈がある(私は今回の探求を逸話として提示しており、経済を代表するものではない)。まず簡単なものから始めよう。1つ目は、この探求が、「AIはバブルだ」と信じる人々に加勢するものだという解釈だ。バブルとは言わば、心配なニュースに直面しても企業が容赦なく支出を続けるような状況を指すのだ。もう1つは、AIについての悪いニュースの見出しが踊っている裏で、企業が方向転換すべきだと納得させるほど本当に厄介なニュースが十分には存在しないという解釈だ。

しかし、AIの進歩と普及が信じられないほど速いため、産業界がニュースに対して必要以上に敏感になっていると私が思ってしまったとも考えられる。イェール予算研究所(Yale Budget Lab)を率い、AIがまだ誰の仕事も変えていないというレポートを共著したマーサ・ギンベルと話して分かったのは、ギンベルは多くの経済学者と同様に、AI業界で慣れ親しまれているより長い時間軸で考えているということである。

「ある技術が人々が思っていたほど迅速に影響を与えたとすれば、それは歴史的に衝撃的なことでしょう」とギンベルは言う。つまり、おそらく経済界の大多数は、AIを放棄するかどうかを決めているのではなく、まだAIが一体何をするのかを理解しようとしているのである。

コンサルタント層から多く聞いたもう1つの反応は、多くのAI試験運用が失敗していることを、確かに経営陣は非常に深刻に受け止めているということである。ただし経営陣は、それを技術自体の失敗とは考えていない。そうではなく、試験運用が十分迅速に進んでいないとか、より良いAIを構築するために適切なデータが企業に不足しているといった、ほかの多くの戦略的理由を指摘している。

上場企業には特に、AIに多額の投資をするという信じられないほどのプレッシャーがあるとしても、この技術に大きく賭けた後に撤退した企業も存在する。後払い決済企業のクラルナ(Klarna)は2024年にスタッフを解雇し、採用を停止し、代わりにAIを使用できると主張した。だが、1年も経たないうちに再び採用を開始し、「AIは私たちにスピードを与えます。人材は私たちに共感を与えます」と説明した。

マクドナルドからタコベル(Taco Bell)まで、ドライブスルー店舗はAI音声アシスタントの試験運用を終了した。私が話を聞いた専門家によると、コカ・コーラの広告の大部分は、同社が10億ドルを投じると約束していたにもかかわらず、生成AIで作られていない。

そのため今のところ、私の疑問は未解決のままである。AIへの賭けがどれだけ報われるか、あるいはいつ報われるかを考え直している企業は存在するのか。そして、そうした企業があるなら、そのことについて声に出して話すことを妨げているものは何なのか。もしその場にいるなら、私に教えていただきたい。

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ジェームス・オドネル [James O'Donnell]米国版 AI/ハードウェア担当記者
自律自動車や外科用ロボット、チャットボットなどのテクノロジーがもたらす可能性とリスクについて主に取材。MITテクノロジーレビュー入社以前は、PBSの報道番組『フロントライン(FRONTLINE)』の調査報道担当記者。ワシントンポスト、プロパブリカ(ProPublica)、WNYCなどのメディアにも寄稿・出演している。
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