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新型コロナで確立された下水監視、拡大する麻しんの早期警報にも
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Measles is surging in the US. Wastewater tracking could help.

新型コロナで確立された下水監視、拡大する麻しんの早期警報にも

2025年に米国は数十年で最高レベルの麻しん(はしか)感染を記録した。感染拡大を抑制する取り組みの1つとして、下水に流れ込んだウイルスを検出する検査が注目され始めており、すでにいくつかの有望な結果も得られている。 by Jessica Hamzelou2026.01.27

この記事の3つのポイント
  1. 米国で麻疹下水監視システムが開発され、公式確認の1週間前にウイルス検出に成功した
  2. 新型コロナ監視技術を応用し、ワクチン接種率低下による麻疹流行拡大への対策として注目されている
  3. 個別感染者特定は困難だが、公衆衛生当局の早期警報システムとして実用化が進んでいる
summarized by Claude 3

先週、かなり不愉快な記念日を迎えた。米国の複数の州に広がった大規模な流行の始まりとなる、テキサス州の麻疹(はしか)症例の報告から1年が経過したのである。2025年1月以来、米国では2500件を超える麻しんの確定症例が報告され、3人が死亡した。

ワクチン接種率が低下し、流行が続く中、科学者たちは新しい症例を迅速に特定し、疾患の拡散を防ぐ新しい方法を実験している。そして、下水監視で一定の成功を収め始めている。

結局のところ、下水には唾液、尿、糞便、剥がれた皮膚などが含まれている。これは豊富な生物学的サンプルと考えることができる。下水分析は、パンデミック中に新型コロナウイルス(SARS-CoV2)がどのように拡散しているかを科学者が理解するのに役立った。まだ初期段階だが、麻しんの把握にも役立ち始めている。

世界的には、主にワクチン接種の取り組みのおかげで、麻しんの排除に向けて一定の進歩があった。世界保健機関(WHO)によると、こうした取り組みにより2000年から2024年の間に麻しんによる死亡者数が88%減少した。WHOは2000年以降「麻しんワクチンによって約5900万人の命が救われた」と推定している。

それでも、2024年だけで推定9万5000人が麻しんで死亡した。その大部分は幼い子どもたちである。そして症例数は欧州、東南アジア、東地中海地域で急増している。

2025年、米国は過去数十年で最高レベルの麻しん感染を記録した。米国は麻しん排除認定を失いつつある。これは2025年11月に1年余りで5000件を超える症例を記録したカナダが迎えた残念な運命と同じである。

極めて感染力の強い麻しんの拡散を封じ込める公衆衛生の取り組みは、通常、医療現場での臨床監視とワクチン接種キャンペーンを含む。しかし科学者たちは下水にも注目し始めている。

さまざまな体液とともに、私たちは皆、歯磨き、シャワー、トイレの使用を通じて、ウイルスや細菌を下水に排出している。疾患を追跡するために下水中のこれらの病原体を探すという考えは以前からあった。だが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック中に、疾患の原因となる新型コロナウイルスが糞便中に排出されることを科学者が発見したときに、本格的に動き出した。

これを受けてエモリー大学のマーリーン・ウルフ助教授とスタンフォード大学のアレクサンドリア・ベーム教授は、米国全土の下水サンプルを分析するために開発された学術主導プログラム「ウェストウォーター・スキャン(WastewaterSCAN)」を設立した。新型コロナは始まりに過ぎなかったとウルフ助教授は言う。「長年にわたって、監視できるものを拡大する取り組みをしました」。

2年前の記事で、ウルフ助教授はMITテクノロジーレビューのカサンドラ・ウィリヤードに、ウイルスが尿中に排出されるため、麻しんの下水監視について「効果的な支援につながる可能性があることは、間違いありません」とだけ語っていた。コミュニティのメンバーが医療にアクセスできなくて公式診断を受けられない場合でも、この手法によってコミュニティでの麻しんの流行を明らかにできるという希望があった。そして、公衆衛生当局が麻しんの拡散を防ぐために行動する必要がある時期と場所を明らかにできると考えた。下水監視が公衆衛生対策として効果的に機能するという証拠は、当時はほとんどなかった。

それ以来、ウルフ助教授と同僚たちは、麻しんウイルスのRNAを特定する検査を開発し、2024年12月から2025年5月にかけてテキサス州の2つの下水処理場でそれを試した。各サイトで、チームは週に2、3回サンプルを収集して、麻しんのRNAが含まれていないか検査したのだ。

研究チームはその期間中に収集したサンプルの10.5%で麻しんウイルスのRNAを発見したと、2025年7月にmedRxiv(メドアーカイブ)で公開されたプレプリント(査読前論文)で報告した(同論文は現在、査読付きジャーナルで審査中である)。最初に検出されたのは、その地域で最初の麻しん症例が公式に確認される1週間前だった。この結果は有望だ。下水監視が麻しんの症例を早期に発見し、公衆衛生当局に流行を制限する取り組みで先手を打つ機会を与える可能性があることを示しているからだ。

カナダの研究チームからもより有望な結果がもたらされている。オンタリオ州ウィンザー大学のマイク・マッケイ教授とライランド・コーチス・スコットらのチームも、麻しんウイルスのRNAについて下水サンプルを検査している。2025年2月から11月にかけて、チームはオンタリオ州リーミントンの3万人以上にサービスを提供する下水処理施設からサンプルを収集した。

これらの下水検査には多少の限界がある。麻しんウイルスを検出したとしても、誰が麻しんにかかっているか、感染が正確にはどこで発生しているか、さらには何人が感染しているかさえわからない。マッケイ教授と同僚たちはここで一定の進歩を遂げ始めている。大規模な下水処理場の監視に加えて、チームはタンポンを使用して病院の側管下水から下水を吸収した。

その後、マッケイ教授らは、検査の結果をその病院の臨床症例数と比較した。これにより、ウイルスの「排出率」についてある程度の考えが得られた。これをリーミントン下水処理施設から収集したデータに適用したとき、チームは公式に報告された数値よりもはるかに高い麻しん症例の推定値を得た。

マッケイ教授らの発見は、流行中の真の症例数は確認された症例数の約5~10倍だったとする地元の保健当局の見解と一致すると、チームメンバーは2026年1月13日にmedRxivに公開された論文に書いている。

下水監視には限界がつきものだ。「私たちはコミュニティ全体の廃棄物のプールを見ているので、個々の感染に関する情報を引き出すのは非常に困難です」とコーチス・スコットは言う。

ウルフ助教授も「ツールが有用になるように最適に使用する方法について研究すべきことがたくさんあります」と認める。しかし、ウェストウォーター・スキャンのウルフ助教授のチームは2025年5月以来、米国全土で麻しんについて下水の検査をしている。そして検査結果をオンラインで公開し、公衆衛生当局と共有している。

ウルフ助教授らの検査結果がすでに麻しんへの対応に役立っているケースもある。「公衆衛生部門がこのデータに基づいて行動するのを見てきました」とウルフ助教授は言う。例えば、警報を発したり、それらの地域でワクチン接種の取り組みを強化したりしている。「公衆衛生部門、臨床医、家族が、自分自身とコミュニティの安全を保つためにその情報を使用しているのを実際に見る段階に達しています」とウルフ助教授は言う。

マッケイ教授は、オンタリオ州の流行が「終息宣言された」ため、自身のチームは麻しんの検査を停止したと言う。地域で新しい麻しんの症例が1件でも確認されれば、検査を再開すると話しており、この研究が麻しんの下水監視システムを維持する強力な根拠を示していると考えている。

さらに、この手法がカナダの麻しん排除認定の回復に役立つかもしれないとも考えている。「私たちは今、のけ者のようなものです」とマッケイ教授は言う。だが、彼の手法が麻しんの流行を抑えるのに役立てば、「カナダの公衆衛生にとって、私たちがきちんと対処していることを示す良いツールになる可能性があります」。

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ジェシカ・ヘンゼロー [Jessica Hamzelou]米国版 生物医学担当上級記者
生物医学と生物工学を担当する上級記者。MITテクノロジーレビュー入社以前は、ニューサイエンティスト(New Scientist)誌で健康・医療科学担当記者を務めた。
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