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マンモスのDNAもヒント?
AIで抗生物質を探す研究者
「不可能」への挑戦
Anthony Wood
生物工学/医療 Insider Online限定
The scientist using AI to hunt for antibiotics just about everywhere

マンモスのDNAもヒント?
AIで抗生物質を探す研究者
「不可能」への挑戦

抗菌薬耐性という「ほとんど不可能な問題」に、この研究者は10代から魅せられてきた。マンモスやネアンデルタール人の遺伝コードから抗菌分子を復元する「分子レベルの脱絶滅」など、新しい抗生物質を探索する対象はAIの力で常識の外へと広がり続けている。 by Stephen Ornes2026.02.23

この記事の3つのポイント
  1. 10代で世界最大の問題として抗菌薬耐性を特定したデ・ラ・フエンテが、20年後の現在もこの問題の深刻化に取り組んでいる
  2. AIを活用してゲノムから抗菌ペプチドを探索し、絶滅種のDNAからも新たな抗生物質候補を発見する革新的手法を開発した
  3. 従来の偶然性に依存した抗生物質開発から、AIによる予測・生成モデルへの転換が創薬の可能性を大きく広げている
summarized by Claude 3

10代の頃、人生で何をすべきかを決めようとしていたセサル・デ・ラ・フエンテは、世界最大級の問題のリストを作成した。彼はそれらを、各国政府が解決に費やしている資金額の少ない順に並べた。抗菌薬耐性がそのリストの最上位に位置していた。

20年が経過した今も、この問題は解決していない。むしろ悪化している。治療を回避するよう進化した細菌、真菌、ウイルスによる感染症は、現在、年間400万人以上の死亡と関連しており、ランセット(The Lancet)誌に掲載された最近の分析では、その数が2050年までに800万人を超える可能性があると予測している。フィジカル・レビュー・レターズ(Physical Review Letters)誌の2025年7月号に掲載されたエッセーで、現在は生体工学者および計算生物学者であるデ・ラ・フエンテと、合成生物学者のジェームズ・コリンズ教授は、大腸菌(Escherichia coli)や黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)といった一般的な細菌の薬剤耐性株による感染症が致命的となり得る「ポスト抗生物質時代」が到来しつつあると警告した。これらの感染症は現時点では既存の薬剤で治療できることが多いが、「抗生物質発見のパイプラインは危険なほど細いままである」と彼らは記している。「高い開発コスト、長期にわたる開発期間、そして低い投資収益率がその障壁となっている」。

だが、デ・ラ・フエンテは人工知能(AI)を活用して、異なる未来の実現を目指している。ペンシルベニア大学のデ・ラ・フエンテのチームは、抗生物質特性を有するペプチドをゲノムから広範かつ網羅的に探索するAIツールを訓練している。彼の構想は、これらのペプチド(最大50個のアミノ酸が連結した分子)を、自然界には存在しない構成も含めて多様に組み合わせることである。その成果は、従来の治療法に耐性を示す微生物から身体を防御する手段となり得ると期待している。

デ・ラ・フエンテの探求は、予想外の場所から有望な候補を見いだしている。2025年8月、ペンシルベニア大学マシンバイオロジー・グループに所属する16人の科学者を含むチームは、古細菌(Archaea)と呼ばれる古代の単細胞生物の遺伝暗号に潜むペプチドを報告した。それ以前には、ヘビ、ハチ、クモの毒からも候補分子を抽出している。さらに、デ・ラ・フエンテが「分子レベルの脱絶滅(molecular de-extinction)」と呼ぶ進行中のプロジェクトでは、絶滅種の公表済み遺伝子配列を解析し、機能し得る分子を探索している。対象には、ネアンデルタール人やデニソワ人といった人類系統、ケナガマンモスなどの大型絶滅動物、さらには古代のシマウマやペンギンも含まれる。地球上の生命の歴史の中で、今日有用となり得る抗菌防御機構を進化させた生物が存在した可能性があるとデ・ラ・フエンテは考えている。こうした失われた遺伝コードからは、mammuthusin-2(ケナガマンモスDNA由来)、mylodonin-2(巨大ナマケモノ由来)、hydrodamin-1(古代ジュゴン由来)といった名称の復元分子が生み出されている。過去数年にわたり、この分子的探索により、デ・ラ・フエンテは100万件を超える遺伝子レシピのライブラ …

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