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ビジネス・インパクト Can Bitcoin Be the Foundation of a Fairer Financial System?

ビットコインは先進国で、貧困層向けのフィンテックになる

MITスローン経営大学院のサイモン・ジョンソン教授は、暗号通貨が、金融システムをより安全させ、貧困層にも利用しやすい金融サービスの実現につながると考えている。 by Will Knight2017.04.20

ビットコインは、自由主義者や暗号オタクの同義語なのかもしれない。だが、ある一流の経済専門家によれば、ビットコインは金融市場の安定性を高め、金融サービスを米国の最貧困層にも利用しやすくする可能性を秘めているという。

マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院のサイモン・ジョンソン教授は、 ある種の電子通貨が、金融システムを根本から改善するかもしれない、という。

「従来の金融システムの仕組みについて、皆さんはどう感じていますか?」とジョンソン教授はMIT Technology Review主催のイベント「ブロックチェーン・ビジネス」カンファレンスで聴衆に尋ねた。「私自身は、大きな懸念があります。私たちの金融システムは頑強ではありません。世界で最も高度に発達したアメリカの金融市場は、2008年秋、崩壊寸前の事態に陥りました」

ビットコインは、分散型暗号台帳で引されるオープンソースの分散型電子通貨だ。すべての取引が分散型台帳に記録され、「採掘」作業を通じて、台帳が運用され、通貨が新規に発行される(「ビットコインとは何か その重要性とは?」 、“Why Bitcoin Could Be Much More than a Currency”参照)。

理論的には、ビットコインのような暗号通貨が取引監視と追跡手段を提供することで、金融システムの安定性が向上する。実際、ビットコインの構想をまとめた論文が、金融危機の発生と同じ2008年に発表されたのは単なる偶然ではないかもしれない。ビットコインは2008年、金融破綻の発生中に発行され、発表から数カ月後の2009年、オープンソースのプログラミング・コードが公開された。ビットコインを考案したのは謎の人物サトシ・ナカモトで、その正体はまだ議論の的であり、さまざまな憶測がある。

「従来の金融システムの仕組みについて、皆さんはどう感じていますか?私自身は、大きな懸念があります」

貧困層が預貯金以外の金融システムを使いこなすのは先進国でも簡単ではないが、暗号通貨がそのハードルを引き下げられる可能性もある、とジョンソン教授はいう。「歴史上最も豊かな国のひとつであるアメリカに、正式な金融システムを利用できない人が大勢存在していることは、非常にみっともない、恥ずべき事実です」

米国では、総人口の最大20%に通常の銀行口座がなく、代替サービス(銀行口座がなくても利用できる送金サービスなど)の利用が貧困状態の固定化につながっている、とジョンソン教授は指摘した。「アメリカで貧困状態に陥ると、このようなサービスのために非常に高額な費用がかかります。私たちは、この問題を是正できるかもしれません」

ビットコインの登場以降、何種類もの暗号通貨が登場し、取引の基礎である分散型台帳(ブロックチェーン)には、さまざまなバージョンが誕生した。ジョンソン教授はビットコインが理想の暗号通貨なのか、それとも中央銀行や企業コンソーシアムが運営する別種の暗号通貨がその座を奪うのかはまだわからない、という。

多くの金融機関がビットコインとブロックチェーンの可能性を模索している。JPモルガンでブロックチェーン事業を率いるアンバー・バルデットは今回のカンファレンスに登壇し、金融サービスの利用手段がない人にブロックチェーンを基礎とした金融サービスを提供する手段を模索する研究について語った。

MITメディアラボの伊藤穣一所長は、ビットコイン等の暗号通貨には、貧困層が銀行サービスを利用できるようにするだけではなく、あらゆる金融機関の責任を高める効果もあるかもしれない、と述べた。

「私たちの金融システムは、金融取引には巨大な金融機関が必要だとの概念に基づいて構築されています。口座を開こうとしている人だろうと、豊富な資産を抱えた年金生活者だろうと、利用者を代表しているとはいい難い、仲介業者を通して取引することになります。ビットコインは公平性の高い取引条件を生み出します。恐らくは、金融システムの複雑さも軽減されるでしょう」

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ウィル ナイト [Will Knight]米国版 AI担当上級編集者
MIT Technology ReviewのAI担当上級編集者です。知性を宿す機械やロボット、自動化について扱うことが多いですが、コンピューティングのほぼすべての側面に関心があります。南ロンドン育ちで、当時最強のシンクレアZX Spectrumで初めてのプログラムコード(無限ループにハマった)を書きました。MIT Technology Review以前は、ニューサイエンティスト誌のオンライン版編集者でした。もし質問などがあれば、メールを送ってください。
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