米中に並ぶ「AI3大強国」へ、世界一楽観的な韓国の野心
鉄鋼、半導体、スマートフォンと飛躍を重ねてきた韓国は、テクノロジーを国の生命線と信じてきた。その最新の標的がAIだ。李在明大統領は米中に並ぶ「AI3大強国」を掲げ、安全性より開発の加速を優先する。世界一楽観的な国民もこれを後押しするが、経済優先の号令の陰で、倫理や雇用への問いは置き去りにされている側面もある。 by Michelle Kim2026.06.17
- この記事の3つのポイント
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- 韓国はAIへの懸念が調査対象25カ国中最低の16%と、世界で突出したAI楽観主義国家である
- 政府主導のAI国家戦略と半導体産業の成功体験が、テクノロジー受容を国家近代化と同一視する文化を醸成してきた
- 経済優先のAI推進姿勢は倫理・社会的考察を後回しにしており、雇用不安や拙速な政策導入への反発も存在する
サンフランシスコからの過酷な12時間のフライトを経てソウルに降り立った私は、無人の入国審査ゲートを通過した。そこでは機械が顔とパスポートをスキャンした。地下鉄で自宅へ向かう途中、地下でも完璧につながる5Gに支えられたスマートフォンに人々は釘付けになっていた。K-POPアイドルの誕生日を祝う広告のLED画面が並んだ駅のプラットフォームを猛スピードで通過して江南(カンナム)の駅で降りると、丸い目が愛らしい車輪付きロボットが、誰かの夕食を届けるために横断歩道で辛抱強く待っていた。歩道沿いにはネットカフェが点在し、次の伝説的なプロゲーマーを夢見ているのかもしれない10代の若者たちがコンピューター・ゲームに熱中していた。
私がたたずんだバス停には、リアルタイムのバス運行情報を表示するインタラクティブなタッチスクリーンが設置されていた。江南区は6月、このバス停が間もなく「AIバス停」に生まれ変わると発表した。複数の言語で乗客の質問に答えるキオスクが設置される予定だという。このニュースに驚きはなかった。この街で育った私は、ソウルがたくましい急成長都市から、今日の輝かしいテクノロジーの首都へと変貌する様子を見届けてきたからだ。
韓国は人工知能(AI)を愛している。
米国ではAIに対する公的な反発が高まっているが、韓国人は楽観的だ。ピュー研究所(Pew Research Center)が実施した調査によると、AIに対して期待よりも懸念を感じると答えた韓国人はわずか16%で、調査対象25カ国の中で最も低い割合だった。一方、米国では50%が期待より不安を感じると回答している。韓国文化体育観光部および大韓商工会議所の調査によれば、韓国人の過半数が、個人アシスタントとして、あるいは業務上のタスクをこなすためにAIを毎日活用している。
世界有数のネット大国である韓国は、AI Webコミック、バーチャルK-POPアイドル、ヒューマノイド僧侶など、あらゆる新技術を街中で試すことを好む。その実験への意欲は一般市民にとどまらない。政府機関もアーリーアダプターとして、学校にAIデジタル教科書を導入し、福祉施設にAI介護ロボットを配備している。韓国人は、テクノロジーを受け入れることが国の近代化と国際社会における地位の確立に不可欠だという深い信念を共有している。AIへの強い関心は、そのような精神の最新の表れであり、先頭を走り続けることに躍起になっている。
仕組まれた熱狂
こうしたテクノロジー楽観主義は、AIを経済成長のエンジンとする韓国の国家戦略によって大きく形成されてきた。「韓国政府はAIを活用した第4 …
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