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Grid Batteries Are Poised to Become Cheaper Than Natural-Gas Plants in Minnesota

再生可能エネ最大の課題が解決か——蓄電設備に普及の兆し

再生可能エネルギーにとって課題である電力需要ピーク時の対応を解決できる可能性が出てきた。背景には、送電網用蓄電設備に利用できるリチウムイオン電池の価格の急落がある。 by Michael Reilly2017.07.18

A 60-acre solar farm in Camp Ripley, a National Guard base in Minnesota.
ミネソタ州の州兵基地、キャンプ・リプリーにある、約24ヘクタールの太陽光発電施設。

再生可能エネルギーに関して言えば、ミネソタ州は特に大きな注目を浴びる土地ではない。2016年に電力の18%を風力発電でまかない、上位10州にランクインした程度には再生可能エネルギー導入に取り組んでいるが、太陽光発電の普及度では 28位でしかない。また、比較的小さな州であるミネソタ州内のプロジェクトが、カリフォルニアテキサスといった広大な州がいつも浴びているような大きな関心を集めることは稀である。

ミネソタ州のエネルギーの先行きについて述べた新たな報告書は、一部の人々を振り向かせるはずだ (PDF)。ミネソタ大学エネルギー移行研究所によると、2019年以降の見通しうる将来、エネルギー需要に応えるための送電網用蓄電池の造設にかかる総費用が、天然ガス発電所の建設費用を下回るという。

ミネソタ州は現在、使用電力の21%を再生可能エネルギーから得ている。悪くはない数字だ。しかし現在の計画では、電力需要の増大に応えるため、2028年までに発電容量1800メガワット分の天然ガス火力発電所、「ピーカー(peaker)」を増設する必要があるともされている。呼称が示している通り、これらの発電所は迅速に発電することで、日々の電力需要のピークに対応することを目的としている。ピーク時の対応は、再生可能エネルギーにとって課題となりがちな点である。風は常に吹いているわけではないし、太陽はいつでも燦々としているわけではないからだ。

再生可能エネルギーから得た電力を溜めておけば、この問題は解決できるかもしれない。しかしこれまで、送電網用の蓄電池は他の発電方式と比べてコストが高すぎると考えられてきた。

ミネソタ大学エネルギー移行研究所の新たな報告書は、従来とは異なる考えを示している。分析によれば、リチウムイオン電池を送電網用の蓄電池に利用することは需要の高まりに備えて電力を備蓄しておく上で有効な手法であり、新たな天然ガス発電所の建設・運営に比べて費用も安く抑えられるという。

この研究結果は興味深いタイミングで発表された。ます第一に、リチウムイオン電池が急激な値下がりが続いていること。 明らかに自動車産業の関心を引いている現象だ。そして、送電網用蓄電池はまだ比較的珍しいものの、その普及度が段々と上がってきていることだ。ミネソタ州の報告書では、この種のプロジェクトは今後ますます一般的になっていき、電気料金を高騰させることなく二酸化炭素排出量を削減する、強力な手段となるかもしれない、とされている。

(関連記事:Minnesota Public Radio, “Texas and California Have Too Much Renewable Energy,” “The One and Only Texas Wind Boom,” “By 2040, More Than Half of All New Cars Could Be Electric”)

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マイケル・レイリーはニュースと解説担当の上級編集者です。ニュースに何かがあれば、おそらくそのニュースについて何か言いたいことがあります。また、MIT Technology Review(米国版)のメイン・ニュースレターであるザ・ダウンロードを作りました(ぜひ購読してください)。 MIT Technology Reviewに参加する以前は、ニューサイエンティスト誌のボストン支局長でした。科学やテクノロジーのあらゆる話題について書いてきましたので、得意分野を聞かれると困ります(元地質学者なので、火山の話は大好きです)。
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