KADOKAWA Technology Review
×
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
Tesla Just Added a Huge Stack of Batteries to the California Power Grid

テスラ、カリフォルニア州で2500世帯分の蓄電設備を構築

素晴らしい発明だが、巨大リチウムイオン電池はおそらく将来的なエネルギー供給を担う存在ではないだろう。 by Jamie Condliffe2017.01.31

テスラが、カリフォルニア州の送電網にちょっとしたバックアップを提供した。

Tesla's grid-scale battery product, the Powerpack.
テスラの送電網用の電池「パワー・パック」

前代未聞のメタンガス漏洩が原因でカリフォルニア州公益事業委員会はアライソ渓谷の天然ガス施設の閉鎖を余儀なくされ、電力のピーク時需要に対応できる代替設備が必要になった。そこでテスラは昨年9月に南カリフォルニア・エジソン(SCE)との契約を勝ち取り、80MWhの送電網用蓄電設備をリチウムイオン電池で構築することになった。

ニューヨーク・タイムズ紙によれば、設備は完成した。しかもかなり巨大な設備だ。テスラによると、世界最大のリチウムイオン電池による蓄電計画であり、396台もの電池で、2500世帯の丸一日分の電力を供給できるという。

このニュースからわかるのは、テスラはすさまじい勢いで電池を量産できることだ。今月から稼働を始めた自社工場ギガファクトリーで電池を製造し始めたことを考えれば、増産する一方のはずだ。

一見したところよいニュースだ。世界規模でエネルギー資源は風力や太陽光に移行しつつある一方、不安定な供給を補うには、送電網にもっと大規模な電池が必要だ。カリフォルニア州で採用されたことで、テスラはリチウムイオン電池の成果を提示できる。

しかし、問題もある。まず、リチウム電池はまだ高価だ。設置費用の具体的な数字は不明だが、ブルームバーグの昨年の記事によると、テスラはカリフォルニア州の10分の1の規模のシステムを290万ドルで販売するつもりだという。それでも、電気自動車は人気があり、巨大なリチウム電池の価格は劇的に下がると予想されている

それよりも懸念されているのは、設備そのものだ。テスラは、パワー・パック・システムに使われる電池が、消耗して寿命に達するまでの充電回数を明らかにしていない。他のリチウムイオン電池と同様に数千回は持ちそうだし、テスラの家庭用大型充電池パワー・ウォールと同様5000回は持つだろう。だが、家庭用としては数千回でも十分だろうが、送電網全体だとすぐに消耗してしまうかもしれない。

問題は、代替案が少ないことだ。大規模な送電網用の電池を構築するのは、それほど難しくはない。安価で、手に入りやすい材料で作られ、連続的な充放電の繰り返しに耐えられればいいだけだ。電池は運搬できる必要はなく、大きさや重さは設計の制約条件にはならない。

それでも、その種の電池はなかなか開発できない。スタートアップ企業のアンブリEosエナジー・ストレージアクイオンサン・カタリティクスが開発しようとしているが、どこも悪戦苦闘している。アンブリの創業者で、マサチューセッツ工科大学(MIT)のドン・ソドウェイ教授によると、現在リチウムイオン電池の開発に投じられている費用の一部は、他の発電システムを開発費に回した方がよいかもしれない。

テスラは同意しそうにない話だ。それに少なくとも今のところは、テスラの電池がおそらく最良の答えだろう。

(関連記事:New York TimesBloomberg, “出力が安定しない風力、太陽光発電を、どうすれば安定供給できるのか?,” “ガソリン車終了は2020年代 電気自動車とテスラの戦略,” “Race for a New Grid Battery Hits a Speed Bump”)

人気の記事ランキング
  1. A new US phone network for Christians aims to block porn and gender-related content ポルノもLGBTも遮断、キリスト教徒向けMVNOが米国で登場
  2. Musk v. Altman week 1: Elon Musk says he was duped, warns AI could kill us all, and admits that xAI distills OpenAI’s models 「オープンAIを蒸留した」マスク対アルトマン第1週、法廷がざわめく
  3. Will fusion power get cheap? Don’t count on it. 核融合は本当に安くなるのか? 楽観論に「待った」をかける新研究
タグ
クレジット Photograph by Kevork Djansezian | Getty
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
AI革命の真実 誇大宣伝の先にあるもの

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る