米国初のヒト胚遺伝子改変の詳細が明らかに、臨床試験も間近か
米国初の大規模なヒト胚の遺伝子改変実験の詳細が明らかになった。実験をした研究者によると、肥大型心筋症として知られる致命的な遺伝的心臓疾患に対して、この手法が驚くほど効果的であり、臨床試験が検討される可能性があるとしている。 by Emily Mullin2017.08.08
米国に拠点を置く科学者のチームが、多数のヒト胚の遺伝子編集を実施し、病気の遺伝子の除去に成功した。同チームは、遺伝子改変された最初の人間を作り出すための基礎を築いたとしている。
オレゴン州健康科学大学(Oregon Health and Science University)のシュークラト・ミタリポフ教授のチームは、遺伝子編集技術であるCRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)を使用し、初期段階の数十のヒト胚で、疾患の原因となるDNAのエラーを修正した。
MITテクノロジーレビューの既報のとおり、これまでに実施された中で最大規模のヒト胚の遺伝子編集プロジェクトである。
2017年8月2日にNature誌に掲載された詳細な報告によると、ミタリポフ教授たちは、肥大型心筋症として知られる致命的な遺伝的心臓疾患を引き起こすMYBPC3という遺伝子の突然変異を修正できることを示した。
同教授たちは、この手法が驚くほど効果的であり、今後、臨床試験が検討される可能性があるとしている。ジャーナリストたちとの電話インタビューでは、「この特定の突然変異に関しては、すでに基礎固めができており、臨床応用により近いと思われます。臨床試験では、遺伝子操作した胚を実際に移植して妊娠を成立させ、子どもの出生を監視し、できればその後も子どもたちを追跡していきたいと考えています」と語っている。
この劇的な進歩により、遺伝子編集技術を用いてヒト遺伝子プールに介入するかどうかの議論がいやがおうにも深まるだろう。評論家は、胚の改変が未知のリスクを子供にもたらし、遺伝子強化された「デザイナーベイビー」になし崩し的につながるのではないかと懸念している。
生殖細胞系の改変(すなわち、胚の改変)の医学的根拠は、遺伝子の欠損を誕生前に修正し、未来の世代に引き継がれないように保証することである。「このテクノロジーにより、遺伝子変異とそれによって引き起こされる疾患を、その家族の系統から完全に根絶できるでしょう」とミタリポフ教授はいう。
ヒト胚のゲノム編集実験の報告はこれまで、中国から3件出ている。しかし、ミタリポフ教授の実験は、これまでの研究よりはるかに多い167のヒト胚の作製を含んでいる。
実験では、健康なドナーから提供された卵子を、心筋症突然変異を持つ一人の男性の精子で受精した。
遺伝子編集は、がんを含む広範な疾患に対する新生児の生涯的なリスクを低下させる予防手段となる、とミタルポフ教 …
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