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技術超大国の最大の「弱点」
AIは中国半導体産業の
敗北の歴史を塗り替えるか?
courtesy of bitmain
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China has never had a real chip industry. Making AI chips could change that.

技術超大国の最大の「弱点」
AIは中国半導体産業の
敗北の歴史を塗り替えるか?

中国は半導体産業に競争力をつけようと数十年にわたって躍起になってきたが、高性能チップにおける世界レベルの競争では依然として後塵を拝している。だが、人工知能(AI)の隆盛により、こうした状況が変わろうとしている。 by Will Knight2019.01.31

ドナルド・トランプ大統領が、北京語をしゃべっている。

これは、北京から自動車で南におよそ1時間、天津市のアイフライテック(iFlytek)のピカピカのオフィス・ビルでの出来事である。アイフライテックは、急速に成長している中国の人工知能(AI)企業の1つだ。警備員のいる門を抜けて、けばけばしいショールームの中に入ると、アイフライテックを称賛する米大統領の姿が大きなテレビ画面に映し出されている。トランプ大統領に顔と声はそっくりだが、もちろんフェイク映像だ。アイフライテックが開発中の最先端のAI技術を駆使した、ちゃっかりしたデモンストレーションなのだ。

ジャン・タオ上級副社長は、笑みを浮かべながらアイフライテックの別のテクノロジーへと案内する。同社の共同創業者の1人であるタオ上級副社長は、社内を案内する間ずっと、アイフライテックの別の注目すべきイノベーションを使っていた。タオ上級副社長の言葉を北京語から英語にほぼ瞬間的に変換する携帯型デバイスだ。タオ上級副社長は、デバイスに向かって話しかけ、翻訳が始まると、にこりと笑った。「このデバイスで、コミュニケーション問題は解決します」と翻訳デバイスが話す。

アイフライテックの翻訳機は、世界中の競合企業に匹敵するAI機能を備えている。だがそれと同時に、2030年までにAIで世界のリーダーになるという中国が発表した2017年の計画の大きな欠点も浮き彫りにしている。内部のアルゴリズムはアイフライテックによって開発されたが、ハードウェア(アルゴリズムを動かすマイクロチップ)は、海外で設計され生産されているからだ。中国は世界の電子機器の大部分を製造しているが、微細で信じられないほど複雑なシリコン構造の生産の習得には繰り返し失敗してきた。このまま海外の集積回路メーカーへの依存が続くようであれば、AIで世界トップになるという中国政府の野心は達成できないかもしれない。

しかしながら、AI自体によって、こうした状況が一変する可能性が出てきた。新しい種類のチップが発明されており、音声認識や画像処理などのタスク向けに多層ニューラル・ネットワークを訓練、実行することでAIの進歩に大いに貢献しているのだ。こうした新チップは、数十年間にわたりハードウェアの最先端を定義してきたシリコン論理回路とは根本的に異なる方法でデータを扱う。これは、マイクロチップが、その長い歴史の中で初めて再発明されることを意味する。

数十年にわたり従来型のチップの後追いをしてきた中国だが、AI向けの新しいマイクロチップではそうはならないだろう。代わりに、AI分野においてすでに持っている強みと、他国とは比較にならないほどの大量のAIアルゴリズム訓練用データを利用できることが、AIに最適化されたチップの設計に優位性を与える可能性がある。

中国のチップ製造に関する野心は、地政学的な意味合いもある。高度なチップは、新しい兵器システムや、優れた暗号化、強力なスーパー・コンピューターにとって鍵となる。こういった分野は、米中間の貿易摩擦が増大する主な要因にもなっている。チップ産業が成功すれば、中国の経済的な競争力と独立性が一層増すことになるだろう。ワシントンと北京にいる多くの人にとって、国力と安全保障が危機に瀕している。

シリコン・ビジョン

上海からクルーズ船で揚子江を上ること2~3日で大都市武漢に着く。その郊外に、サッカーの競技場数個分の広さの工場が建っている。国の支援で設立されたマイクロチップ製造業者の清華紫光集団(Tsinghua Unigroup)の工場だ。この工場では2019年末までに、高度なメモリーチップ用のシリコンウェハーを製造するようになる予定だ。

清華紫光集団は、武漢の施設に総額240億ドルを投資して、現在の3倍の規模に拡大しようとしている。他にも、同レベルの資金を投じて、南京の揚子江沿いと、成都の西に同じような規模の工場を開発中だ。これらの工場は、これまでに中国企業が建設した工場の中で、最大かつ最も洗練されたものとなるだろう。

こういった動きはすべて、中国政府による半導体製造産業育成のための取り組みの一環だ。2014年、中国政府は、国家集成電路産業投資基金( National Integrated Circuits Industry Investment Fund)を設立した。 この基金は、地方政府の後ろ盾のある基金や国営企業から、1800億ドルの調達を計画している補助金プログラムだ。その1年後、中国政府は、中国の製造業全体を高度化するための包括的計画である「中国製造2025」を発表した。この計画では、2030年までに、中国の半導体生産が金額ベースで3050億ドルとなり、中国内需要の80%を満たすという非常に野心的な目標を設定している(2016年の中国の半導体生産額は650億ドル、国内需要の33%だった)。現在、世界の半導体生産額は4120億ドルだ。

とはいうものの、先はまだ長い。中国の半導体市場は、世界最大で最も急成長しているが、売上高で世界のトップ15に入る …

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MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

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