KADOKAWA Technology Review
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「AIはすでに仕事を奪っている」、元グーグルの中国トップが明言
知性を宿す機械 Is Technology About to Decimate White-Collar Work?

「AIはすでに仕事を奪っている」、元グーグルの中国トップが明言

グーグル・チャイナの初代社長として著名な投資家李開復は、AIはすでにホワイトカラーの仕事を奪っていると明言する。「4つの波」がやってくるという。 by Will Knight2017.11.09

中国で最も知られる科学技術者であり投資家の1人、シノベーション・ベンチャーズの李開復(リー・カイフー)CEOは、人工知能(AI)が中国の数百万人の事務系職員に取って代わろうとしていると考えている。

「人間とAIの交代は、現在進行形で起きている事実であり、事務系職員の完全な大量殺戮ともいえる状況です」と、李CEOは先週、マサチューセッツ工科大学(MIT)のカンファレンスで講演した。「最初にホワイトカラーの労働力がこの交代に直面し、その後に、ブルーカラーの仕事でも起こると考えています」。

李CEOはシノベーションの投資先の幾つかを引き合いにして、ルーチンの事務仕事がすでにAIによって変化していることを明示した。たとえば、李CEOが投資しているスマート・ファイナンス・グループでは、ペイデイ・ローン(米国消費者金融の短期小口貸付のことで給料が担保)利用者の適格性を機械学習を使って判断している。この他にもシノベーションは、顧客サービス、研修、その他ルーチンの事務業務の自動化を進める企業に投資している。

李CEOの警告が注目するに値する根拠は十分にある。李CEOは投資家に転じる前、中国にマイクロソフトの研究施設を設立し、2009年にはグーグル・チャイナ(Google China)の初代社長に就任している。1980年代にはカーネギーメロン大学で機械学習による音声認識の草分け的な技術研究もしている。

ベンチャー投資家である彼にとって、AIがもたらす影響の可能性を強く主張する強力な動機があるのかもしれない。それでも、中国政府がAIに巨額の投資していることや、それによって新しい産業分野が混乱する可能性を考えると、李CEOが語る中国の展望は重要な意味を持つ(「国家レベルでAIに賭ける中国から何を学ぶべきか」参照)。

李CEOは、まったく別々かつ非連続的に起こる4つの「AIの波」を明らかにした。第一の波は、機械学習に必要な大量のラベル付きデータが入手可能になることで加速される波だ。大量の教師データを手に入れた中国と米国の巨大インターネット企業は、ビジネスを構築し、AIの専門知識を高度化する。

第二の波は、企業内データの利用可能性が広がることでやってくる。特に会計や法律などの業界で、職場に混乱をもたらすと李CEOは考えている。たとえば、機械が数千件の資料から素早く効率的に判例を検索できれば、法律事務所が求めるパラリーガルの数は減ることになる。

第三の波は、新しい製品やアプリを通してデータを生成する企業や、それを作ることに費用を支払う企業によって起こる波である。そして第四の波は、まだ先のことになるが、自動運転自動車やロボットヘルパーなど、完全に自動化されたサービスをもたらす。

「AIは、さまざまな分野に適用され、製品化され、驚異的な価値を生むでしょう」と李CEOはいう。「ベンチャー投資家やAI技術を活用したい大企業にしてみれば、現在は開かれたAIの時代です」。

李CEOが講演した「AIと仕事の未来」と題するカンファレンスでは、テクノロジー業界は最悪の状況に備える必要があるという認識が感じられた。たとえば、カンファレンスの開会に先立ち、MITのラファエル・レイフ学長は、最近の技術的進歩は社会に深刻な影響を及ぼす可能性があると述べている。

だが、多くの優れた科学技術者と経済学者が、AIと自動化による影響の可能性について意見が一致しなかった、とカンファレンスでは強調されている。これは現在まで、何年にもわたり経済政策の枠組の中で進められてきた非常に幅広い議論の一部でもある(「How Technology Is Destroying Jobs」、「Who Will Own the Robots?」参照)。

カンファレンスの講演者の一部は、AIが新しいビジネスや産業を生み出し、破壊する以上に多くの雇用を創出すると考えている。だが、李CEOはそのような楽観的な意見に賛同しない。

「多くの楽観主義者は、技術革命によってなくなる仕事があれば、新しく生まれる仕事もあるだろうと話します。AIによって雇用が創出される場所もあるでしょうが、それは例外だというのが私の意見です」。

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ウィル ナイト [Will Knight]米国版 AI担当上級編集者
MITテクノロジーレビューのAI担当上級編集者です。知性を宿す機械やロボット、自動化について扱うことが多いですが、コンピューティングのほぼすべての側面に関心があります。南ロンドン育ちで、当時最強のシンクレアZX Spectrumで初めてのプログラムコード(無限ループにハマった)を書きました。MITテクノロジーレビュー以前は、ニューサイエンティスト誌のオンライン版編集者でした。もし質問などがあれば、メールを送ってください。
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