KADOKAWA Technology Review
×
米国で蔓延するオピオイド中毒、「飲むセンサー」で服薬を追跡
eTectRx
ニュース 無料会員限定
Digital Pills Track How Patients Use Opioids

米国で蔓延するオピオイド中毒、「飲むセンサー」で服薬を追跡

薬と一緒に飲み込む経口摂取型のワイヤレスセンサーと、センサーの電波を受信するウェアラブル型受信器の試験が、米国の病院で実施されている。医師から出された薬を患者が正しく服用しているか追跡調査するためのもので、オピオイドなどの依存性の高い薬の過剰摂取を防ぐのにも役立つとされている。 by Emily Mullin2017.12.27

患者が処方されたとおりに薬を飲んでいるかを追跡する手段として、消化管を通り抜けながらスマホにメッセージを送信する新しいピル・カプセルが登場した。ある試算によれば、投薬の指示に対するノンアドヒアランス(患者が治療に対して非積極的であること)の問題は、年間およそ12万5000人を死に至らしめ、そして少なくとも入院の原因の10%になっているという。

経口摂取型の追跡テクノロジーは、オピオイドのような依存性の非常に高い医薬品を患者が飲みすぎていないかを確認するためにも、すぐに利用できる。ボストンのある病院の研究者らは、内科医が正しい量の薬を処方し、患者が必要以上に薬を服用しないようにするために、このハイテク・ピルが役立つと考えている。

ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の救急医であり、医療毒物学者であるエドワード・ボイヤー医師とピーター・チャイ医師は、米国内でオピオイドの濫用が進むにつれ、初めてオピオイドを処方された患者が、その薬をどのように服用するかを突き止めたいと考えた。

チャイ医師によれば、患者が薬をどう飲んでいるかのパターンを特定できるようになれば、そのパターンに変化があったとき(例えば患者の薬の服用量が増えた場合や、オピオイドの服用時間としてもっとも危険である就寝前に飲むようになった場合など)に内科医が介入するのに役立つという。

医師らは、ワイヤレス・センサー付きの経口摂取型ゲルカプセルを開発しているフロリダ州ニューベリーを拠点とする …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中! ひと月あたり1,000円で読み放題
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る