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The Biggest Technology Failures of 2017

MITTRが選ぶ、
2017年に世間を騒がせた
最低なテクノロジー7選

2017年も多くのテクノロジーが世間を賑わせた。中には目を見張るほど素晴らしいものもあれば、目を覆いたくなるほどひどいものもあった。DIY遺伝子治療薬の自己投与や何一つ目的を持たない仮想通貨のICO(新規仮想通貨公開)など、MITテクノロジーレビューが選んだ最低のテクノロジーを7つ紹介する。 by Antonio Regalado2018.01.05

MIT テクノロジーレビューは1年のほとんどを、最も重要な新しいテクノロジーを見つけ出し、それらについて書くことに費やしている。しかし毎年1回、最低なテクノロジーに焦点を当てる日がある。

今日がその日だ。

DIY遺伝子療法

トースターと浴槽、タイタニック号と氷山、炎とヒンデンブルク号。いくつかのアイデアは、とにかく一緒にするべきじゃない。

2017年は、「DIY遺伝子療法」を最低なテクノロジーのリストに加えることができるだろう。オーディン(Ordin)のジョサイア・ザイナー最高経営責任者(CEO)は8月にYouTube映像で、クリスパー(CRISPR)として知られるDNA切断薬を、自分で作った筋肉増強剤と混ぜて注射器一本分注射した。バイオハッカー向けネットショップを運営しているザイナーCEOは、ジャッカス(MTVでかつて放送されたおバカ番組)かダーウィン賞のどちらかを狙っているようだ。ザイナーCEOの処方した薬品は大した効果を出すほど強くはなかったようだが、危険なのは他の人たちが真似をすることだ。

米国食品医薬品局(FDA)は、2017年にがんと視覚障害の患者を救う(とてつもなく高価な)遺伝子療法を3種承認したが、DIY遺伝子療法の販売は違法だとしている。ザイナーCEO自身は、これらの製剤を売っている訳ではないので自分は潔白だと主張している。だが同時に、人々は望むなら自分自身のDNAを変える自由があるべきだとも訴えている。

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トランプ大統領のツイッター

2016年にMITテクノロジーレビューは、ねつ造ニュースを蔓延させるとしてフェイスブックを最低テクノロジーのリストに載せた。2017年はツイッターをノミネートしよう。具体的に言うと、@realDonaldTrumpだ。トランプ大統領のツイートはしばしば女性差別的で、人種差別に満ち、個人の国民を名指しで脅すような内容だ。ホワイトハウスによれば、トランプ大統領の発言は、殺人映像をリツイートしたり、北朝鮮に対して核で全滅させると脅したり(「彼らはそう長くは存在しないだろう!」)しているにも関わらず、「公式発言」だという。

ツイッターは、大統領の発言は「ニュースとしての価値があり」、「国民の関心事」なので、利用規約を拡大解釈するのを許しているという。あるいは、あるアナリストが指摘するように、トランプ大統領のツイッターアカウントは、経営危機にある会社(つまりツイッター)にとって20億ドル相当の市場価値があるからかもしれない。トランプ大統領とその陰謀の数々、例えばロシア、女性、税金、司法への介入などは確かにソーシャル・メディアが飛びつきたくなるような話題ばかりだ。悲劇につながらないことを祈ろう。

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ジューセロ(Juicero)

400ドルのIoTジューサーは、シリコンバレーの最悪の本性を象徴している。ジュース版のキューリグ(Keurig:カプセル式のコーヒーメーカー)とも言えるこのマシンは、満を持して2017年の最低テクノロジーのリストにランクインした。ベンチャー資本家はコールドプレス・ジュース起業家のダグ・エバンスに1億2000万ドルを投資したが、ビーガン(完全ベジタリアン)で自身をスティーブ・ジョ …

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