KADOKAWA Technology Review
×
6/15開催 「生成AI革命2」参加受付中【会員優待あり】
米軍基地の位置漏えい騒動が残した、たった1つの教訓
Strava
コネクティビティ 無料会員限定
Strava’s privacy PR nightmare shows why you can’t trust social fitness apps to protect your data

米軍基地の位置漏えい騒動が残した、たった1つの教訓

個人のフィットネス活動を記録・共有するソーシャル・アプリ「ストラバ(Strava)」で公開されている情報から、米軍基地に関する情報が漏えいする事故が起こった。こうしたアプリは、初期設定では個人の情報を過度に公開してしまうおそれがあるので、どの情報を公開するかユーザーはよく考える必要がある。 by Rachel Metz2018.02.01

何年もの間、私は人気のフィットネス活動(アクティビティ)追跡アプリ「ストラバ(Strava)」 を使ってサイクリングの記録をつけてきた。記録のほとんどは、私のサンフランシスコのアパートから始まって終わっている。ある時点で、自分の居場所のこんなに正確な情報をシェアするのはあまりよくないんじゃないかと思い立ち、オンライン上の自分の家から直径数ブロックの範囲に境界線を設定して、移動の始点と終点を少し曖昧にした。境界線を設定しておけば、一旦そのゾーンに入った後の動きがアプリで公開されなくなるのだ。

しかし他の何万人ものストラバのユーザーは、明らかにそこまで用心深くないようだ。昨年末ストラバは、世界中のユーザーが記録を公開している莫大な数のアクティビティに基づいて作成した検索可能なヒート・マップを公開した。ある研究者はこのデータを使えば、アフガニスタンやシリアなどの国にある米軍基地などの機密扱いの場所や、そこにいる人員の日常の運動ルートまで明らかになってしまうことを指摘した。米軍基地周辺でストラバを使っている人の多くは兵士や軍関係者である。地図上の暗い部分の中に小さな明るい領域がいくつか見えるのは、そこで彼らがうろつき、動き回っていることを表している。この件についてストラバにコメントを求めたが、返答はなかった。

セキュリティ上のリスクであるこの問題に対処するために、米軍は敷地内でのガジェット使用に関する規則を改訂しているようだ。テック企業は、自分の生活の様子を追跡させたり他者にシェアしたりさせようとユーザーに仕向けている。軍関係者でない人々も、こうした企業は本当に、こまごましたことを私たちに公開させたがっていることを改めて肝に銘じるべきだろう。ストラバやフェイスブック、ツイッターなど多くのサービスが、シェアすることをビジネス・モデルの土台にしてきた。近い将来、ユーザーは、何は秘密にすべきで、何はシェアしても安全なのか、自分で判断する必要に迫られるはずだ。だが判断が難しい場合も多く、ましてやそれを実行に移すとなればなおさらである。

ストラバは、ユーザーにサイクリングやランニング、水泳などのアクティビティをシェアさせることで成立している。つまるところ、ユーザーがたくさんのアクティビティをシェアすればするほど(現在1 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
生成AI革命

自然な文章を生成するチャットGPT(ChatGPT)/GPT-4などの大規模言語モデル、テキストから画像を生成できるDALL·E 、Stable Diffusion、Midjourneyなどの拡散モデルの登場は、私たちの生活やビジネスを大きく変えようとしている。
人工知能(AI)の新時代を牽引する「生成AI(ジェネレーティブAI)」革命の最前線を追う。

記事一覧を見る
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.10
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.10世界を変えるU35イノベーター2022年版

人工知能(AI)/ロボット工学、インターネット、通信、コンピューター/電子機器、輸送、持続可能性、生物工学など幅広いテクノロジー領域で活躍する2022年の日本を代表する若手イノベーター14人、米国・中国・欧州などで活躍するグローバルのイノベーター35人を一挙紹介する。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る