AIアシスタントの進化には
「身体」が必要だ
ユーザーと音声でやり取りできる人工知能(AI)アシスタント製品が、爆発的に普及している。アマゾンのAIアシスタント「アレクサ」の開発を主導する研究者は、AIアシスタントが本当の知性を身に付けるには「世界を探索する必要」があるという。 by Will Knight2019.04.02
「アレクサ、もっと賢くなれないのかい?」
アマゾンのアレクサ(Alexa)人工知能グループを率いるロイット・プラサド主席科学者が自身に問い続けている質問だ。また、人工知能(AI)の分野が、これまでに実際どれほどの進歩を果たし、まだまだ道は遠いことを我々に知らしめる質問でもある。
プラサド主席科学者は3月26日に開かれたMITテクノロジーレビュー主催のAIカンファレス「EmTechデジタル」で、AIアシスタントの知能の限界や、アレクサで使われているテクノロジーについて説明した。
アマゾンの人気バーチャル・アシスタントであるアレクサは、これまで順調な道のりを歩んできた。2014年、アマゾンはスマート・スピーカー「エコー(Echo)」のインターフェイスとして、忍耐強く、きびきびした朗らかな女性の声を備えたアレクサを発表した。エコーは、音声による質問や指示に応答する卓上デバイスで、部屋の端にいる人の声も聞きとれる。
2014年以来、エコー製品は1億個以上を売り上げている。エコーの成功に刺激されたグーグルやアップルは、急いで競合製品の製造に取り掛かった。バーチャル・アシスタントはいまやテレビ、自動車、ヘッドフォン、ベビーモニター、トイレなど何百もの種類のデバイスに導入されている。
バーチャル・アシスタントがこれほど普及しているのは、ソフトウェアが単純なリクエストに答えるのがいかに上手くなったかを示す証である。ユーザーは役に立たないバーチャルアシスタントには我慢できないからだ。しかし、長く使用していると、テクノロジーの欠点が姿を見せ始める。アレクサは追加の質問や「うーん」といった言葉に簡単に混乱してしま …
- 人気の記事ランキング
-
- This startup is about to conduct the biggest real-world test of aluminum as a zero-carbon fuel アルミ缶をクリーン燃料に、 米スタートアップが作った 「新エンジン」を訪ねた
- Promotion MITTR Emerging Technology Nite #35 Soraの問題点とは? AI時代の知財を考える11/12緊急イベント
- What a massive thermal battery means for energy storage 1000℃のレンガで熱貯蔵、世界最大の蓄熱電池が稼働
- An AI adoption riddle AIの試験運用は失敗続き、それでもなぜ投資をやめないのか?
- I tried OpenAI’s new Atlas browser but I still don’t know what it’s for 誰のためのブラウザー? オープンAI「Atlas」が残念な理由
