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Amazon’s Push in India Starts to Deliver

中国での失敗を教訓に、アマゾンはインドでライバル企業を追撃中

中国での失敗を教訓に、アマゾンはインドで成功しつつある。 by Nanette Byrnes2016.11.18

北米部門で大きな伸びがあったおかげで、アマゾンの2015年の純売上高は1070億ドルを達成した。ネット販売の巨人アマゾン(本社シアトル)は、ここ3年で北米の売上高を220億ドル増やし、2015年の全売上高の60%を占めた。

アマゾン(MIT Technology Reviewは2016年の「世界で最も革新的な50社」の1位に選んだ)は米国外での売上高も増やしてはいるが、利益は少なくなっている。為替の影響で利益が減少したのも原因だが、アマゾンが世界中のフルフィルメント機能(仕入れ・販売業者から商品を預かり、アマゾンの物流センターから発送するサービス)の拡張に高額な投資をしてきたのも原因だ。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事によれば、アマゾンの世界規模の投資は、インドで成果を出し始めている。アマゾンによると、総人口約12億人のうち、オンライン販売の利用者が4000万人しかいないインド市場に50億ドルを投資した。その結果、長年のライバルで、地元インド最大のオンライン販売企業であるフリップカート・インターネット(Flipkart Internet)に、現在、徐々に追いつきつつある。

アマゾンは、本来は急成長しているはずの中国のオンライン販売市場で苦戦した。ジェフ・ベゾスCEOは、中国市場に適応した十分なマーケティングができなかったせいで、アマゾンは中国の巨大企業であるアリババやJD.comに対抗できるような強い存在感を作り出せなかった、としている。

アマゾンは、中国で得た貴重な教訓から、同じ失敗を繰り返すまいと決心したのだ。そこでインドでは、世界中のアマゾンの特徴である充実したフルフィルメント機能と商品推薦エンジンを駆使している。また、アマゾンは現地の商習慣にも合わせようとしている。たとえば多くのインド人はクレジットカードを使わないため、バイク配達員は現金でも代金を受け付けてくれる。

(関連記事:Wall Street Journal, Recode, “50 Smartest Companies, 2016”)

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クレジット Photograph by Manjunath Kiran | Getty
ナネット バーンズ [Nanette Byrnes]米国版 ビジネス担当上級編集者
ビジネス担当上級編集者として、テクノロジーが産業に与えるインパクトや私たちの働き方に関する記事作りを目指しています。イノベーションがどう育まれ、投資されるか、人々がテクノロジーとどう関わるか、社会的にどんな影響を与えるのか、といった領域にも関心があります。取材と記事の執筆に加えて、有能な部下やフリーライターが書いた記事や、気付きを得られて深く、重要なテーマを扱うデータ重視のコンテンツも編集します。MIT Technology Reviewへの参画し、エマージングテクノロジーの世界に飛び込む以前は、記者編集者としてビジネスウィーク誌やロイター通信、スマートマネーに所属して、役員会議室のもめ事から金融市場の崩壊まで取材していました。よい取材ネタは大歓迎です。nanette.byrnes@technologyreview.comまで知らせてください。
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