KADOKAWA Technology Review
×
Innovators Under 35 Japan 2026 候補者募集開始!
米国でセミが17年ぶりの大量発生、観察報告アプリが人気に
Chip Somodevilla/Getty Images
人間とテクノロジー 無料会員限定
The Brood X cicadas are here — and yes, there’s an app for that

米国でセミが17年ぶりの大量発生、観察報告アプリが人気に

米国で17年に一度、大量発生するセミの観察を、スマホアプリを使用したクラウドソーシングで実施している研究者がいる。屋外での観察がパンデミック中の娯楽に適していることに加えて、親しみやすい市民科学活動であることから人気を博し、当初の目標を大幅に上回る報告が寄せられている。 by Tanya Basu2021.06.04

数週間前、ミッシェル・ワトソンは耳をつんざくような、絶え間なく振動する甲高い音で目を覚ました。「この音は一体何?」彼女は疑問に思った。

庭へと出ると、何百匹ものビーズのように目を輝かせた昆虫が、金色の厚い殻をまとって地面から現れ、木を這い上がっているのを目にした。ワトソンが目にしているのは、何千匹もの「ブルードX(Brood X:ブルード・テン)」というセミの出現。総勢何十億という昆虫の群れの一部だ。ブルード・テンの群れは、約3週間にわたっていたるところで、雷のような求愛行動の「金切り声」をあげるために出てくる。それまで17年間、地中に身を潜めていたのだ。

ワトソンは、過去20年間ラスベガスで過ごしていたが、昨年ジョージア州のブルーリッジ山脈に引っ越してきた。ワトソンは、米国東部の広大な地域に、一世代に一度現れるというそのセミについて、ソーシャルメディアに投稿されているのを見たことはあったが、それまでずっと耳にしてきたいつもの夏の虫だと思っていた。「『それがどうしたっていうの?』と思っていました」と彼女は言う。

しかし、奇妙な生き物の襲来に直面し、ワトソンは突然、「何がどうしたというのか」を理解した。そして、現代の人間であれば誰でもするであろうことをした。グーグルで検索したのだ。そして、数分のうちに、セミ追跡アプリ「シケイダ・サファリ(Cicada Safari)」をダウンロードした。

「アイ・ナチュラリスト(iNaturalist)」「ピクチャーディス(PictureThis)」「プランティン(PlantIn)」などのアプリは、パンデミック中の息抜きとして人気を博している。これらのアプリの多くは、デジタル資源としての機能を果たし、ユーザーは科学的研究のために写真や動画を投稿できる。これらのアプリの成功に触発され、マウント・セント・ジョゼフ大学の生物学教授であるジーン・クリツキーは、ブルード・テンを追跡する方法として、独自サービスのシケイダ・サファリを作った。

クラウドソーシングは、一世代に一度しか起こらないブルード・テン大量発生の情報を収集するために、これまでもずっと使われてきた、とクリツキー教授は言う。185 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. It’s time to address the looming crisis in entry-level work. 「コーディングを学べ」もう通用せず、AIが若者の雇用を奪い始めた
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  3. Anthropic’s Code with Claude showed off coding’s future—whether you like it or not 「Claudeに任せてしまおう」 たった1年で激変したソフトウェア開発
▼Promotion
社会実装都市「ひろしま」の魅力に迫る ローカル ✕ イノベーション
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る