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米EV減税が正式廃止、今後の動きをドイツの先例から予想
AP Photo/Sean Rayford
EV tax credits are dead in the US. Now what?

米EV減税が正式廃止、今後の動きをドイツの先例から予想

米国のEV税額控除が10月1日に正式終了した。最大7500ドルの控除はEV普及の原動力だったが、ドイツでは2023年の補助金停止後にEV販売が半減。専門家は米国でも同様の急落を予想しており、2030年の販売台数が40%減少する可能性があると分析している。 by Casey Crownhart2025.10.06

この記事の3つのポイント
  1. 米国のEV税額控除が10月1日に正式終了し最大7500ドルの購入支援が廃止された
  2. 輸送部門が米国の温室効果ガス排出量の約30%を占める中でEV普及促進策が打ち切られた
  3. ドイツの事例では補助金終了後にEV販売が急落し2030年目標達成には大幅な成長加速が必要
summarized by Claude 3

10月1日、米国のEV税額控除が正式に終了した。

2022年のインフレ抑制法(IRA)で拡大・延長されたEV税額控除は、電気自動車(EV)の新車購入に対して最大7500ドルの控除を消費者に提供していた。この控除はEVの初期費用を削減する主要な原動力となり、より多くの人々にEV購入を促し、自動車メーカーに需要が堅調であるという確信を与えていた。

バッテリー式電気自動車が依然として米国の新車販売に占める割合が小さいこの時期に、税額控除は終了した。そして米国の気候汚染の主要な要因は輸送部門であり、自動車、トラック、船舶、鉄道、航空機を合わせると温室効果ガス排出量全体の約30%を占めている。

米国のEV市場の今後を予測するには、同様の補助金プログラムを終了したドイツなどの国々が参考になる(先にネタバレしておくと、年末にかけてEV市場は厳しいものになるだろう)。

燃料費の節約分を考慮すると、EVの生涯コストは現時点ですでにガソリン車よりも低い可能性がある。しかし、EVは初期費用が高くなる傾向があり、そのため一部の政府は普及促進を後押しする税額控除やリベートを提供している。

2016年、ドイツはEV販売を促進する全国的なインセンティブ・プログラムを開始した。プログラムが実施されている間、ドライバーは新しいバッテリー式電気自動車またはプラグイン・ハイブリッド車の購入に対して最大約6000ユーロの補助金を受けることができた。

やがて、政府はこの優遇措置を段階的な廃止を始めた。プラグイン・ハイブリッド車への支援は2022年に終了し、法人による購入は2023年9月に対象外となった。そして、政府が優遇措置終了の発表をした2023年12月(告知期間は約1週間しかなかった)、プログラム全体が急停止した。

月次販売データは、これらの変化の痕跡をはっきりと示している。 公的な支援が縮小されるたびに、その直前に販売のピークがあり、その後、急落している。これらの短期的な影響は劇的で、例えば2024年1月にドイツで販売されたバッテリー式電気自動車の台数は、2023年12月の約半分だった。

米国では、この種の旺盛な需要と急落のサイクルの前半部分である、旺盛な需要がすでに見られ始めている。8月のEV販売台数は増加し、新車販売全体の約10%を占め、アナリストは9月が記録破りの月になるだろうと述べている。人々はまだ優遇措置を利用できる間に駆け込み購入をしたのである。

次に来るのは急落である。今後数カ月間はおそらくEV販売は非常に低調になるだろう。あるアナリストはワシントン・ポスト紙に対して、新車販売台数に占めるEVの割合は「1%や2%のような」一桁台前半まで急落する可能性があると予測している。

結局のところ、こうした政策変更を実施した米国やドイツといった国々で市場に影響が出るのは、それほど驚くべきことではない。「問題は、この急落が本当にどのくらい長く続くのか、そして成長の回復がどれほど緩やかになるのということです」と、ノルウェーのCICERO国際気候研究センター(CICERO Center for International Climate Research)の上級研究員でEV販売データを収集しているロビー・アンドリューはメールで述べた。

昨年の記事『ドイツでEV販売に急ブレーキ、補助金のベストな止めどきは?』のために、アンドリュー上級研究員を含む専門家たちに話を聞いた時、数名がドイツの補助金終了は早すぎ、早期の支援打ち切りがドイツにおけるこのテクノロジーの長期的見通しにとって何を意味するかを懸念していると語った。しかも当時のドイツのEV普及率は米国よりもはるか高く、新車販売台数の20%をEVが占めていた。これは米国の割合の2倍である。

ドイツでは補助金終了後、EVの普及は長期的に鈍化した。バッテリー式電気自動車が新規登録台数に占める割合は、2023年の18.5%から2024年は13.5%に低下し、結果として、英国はドイツを抜いて欧州最大のEV市場となった。

今年に入ってドイツの状況は改善し、上半期の販売台数はまだ優遇措置が実施されていた2023年に記録した数字を上回った。しかし、ドイツが2030年までに国内で1500万台のバッテリー式電気自動車を登録するという目標を達成するには、成長の大幅な加速が必要である。2025年1月時点で、その数字はわずか165万台だった。

初期の予測によると、米国での税額控除終了はEVの普及、ひいては排出削減を遅らせる可能性がある。プリンストン大学のゼロ・ラボ(Zero Lab)によるある分析によると、控除がない場合、2030年のバッテリー式電気自動車の販売台数は、控除がある場合と比べて約40%少なくなる可能性がある。

米国の一部の州では、電気自動車の購入を検討している人々のための独自のインセンティブ・プログラムがまだ継続されている。しかし、連邦政府の支援がなければ、米国は中国のような世界のEV先進国に後れを取り続ける可能性が高い。

アンドリュー上級研究員はこう述べている。「気候変動対策の観点で見れば、道路交通が米国の総排出量のほぼ4分の1を占める中で、手の届くところにある果実を放置しておくことは重大な後退です」。

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ケーシー・クラウンハート [Casey Crownhart]米国版 気候変動担当記者
MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。
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